2013年12月04日

安倍内閣の医療・社会保障改革の行方

第589回 医療経済研究会(12月2日)で、二木立(日本福祉大学学長)氏の話を聞きました。第二次安倍内閣の医療・社会保障改革の行方について、歯に衣着せぬ論調で、わかりやすい解説でした。

彼の主張は、下記のようなものです。

1.安倍内閣は、医療・社会保障政策に関しては、「安全運転」を続けている。

⇒安倍内閣の「骨太方針2013」、「日本再興戦略」は、小泉内閣、菅内閣の焼き直しで、既存の方向性を逸脱していない。したがって、混合診療全面解禁はありえない。

⇒長期政権になり、政府内で新自由主義派(小さな政府・規制緩和)の影響が再び強まった場合には、部分的に変わる可能性あり。

⇒安倍政権は、結局、プライマリーバランス(基礎的財政収支)赤字額の対GDP比を2015年までに2010年度比で半減させることが目標。そのため、下記のことをやっていかなければならないので、医療・社会保障は「安全運転」ということになるのでしょう。

 @消費税を上げていく
 Aアベノミクスでデフレから脱却する
 B社会保障を含め歳出を現状のまま維持する


2.TPP交渉は、実質、米国との2国間交渉で、米国が要求し、実現可能なものは、「新薬創出加算制度の恒久化と上限撤廃」、「市場拡大再算定ルール廃止または改正」の2点。

⇒ある程度、薬価維持が図られる。

⇒長期的には、医療特区に限定した、混合診療、医療機関の株式会社化等の市場原理導入はありえる。この場合は、日米が協力して検討を行うような方法を取り、一方的な押し付けにはならないだろう。


3.最大の懸念は、法定患者負担が野放図に拡大する危険。

⇒70〜74歳の高齢者の2割自己負担化 : 2,000億円削減
⇒外来受診時定額負担 : 1回100円で2,000億円削減
⇒外来診療への免責制 : 1回500円までで1兆円、1,000までで2兆円削減
⇒入院給食費の全額自己負担化 : 5,000億円削減(ただし、完全実施は困難)


ただし、公的な資金を投入し続けなくてはならないため、『医療が成長産業にはなりえない』という彼の主張はよく理解できましたが、医療本体はそうであっても、医療周辺の分野には新たな産業が起こる可能性はあると私は思っています。






posted by lou at 16:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 医療制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする