2017年03月29日

長期収載品の売却が加速

2016年4月1日に発表された「武田テバ薬品」の設立に始まった長期収載品の売却の流れが、他の製薬企業にも急激に波及してきました。

◆2016年4月1日 【武田薬品】武田テバ薬品設立。降圧剤ブロプレスや抗潰瘍薬タケプロンなど長期収載品約30成分90品目を承継。

https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/53957/Default.aspx

◆2016年12月1日 【塩野義】共和薬品工業(インドの後発薬大手ルピン傘下)に睡眠導入剤や抗うつ剤など精神神経疾患系の治療薬など21製品の販売権を移管。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASHD02H07_S6A800C1000000/

◆2017年3月28日 【田辺三菱製薬】後発医薬品事業の子会社である田辺製薬販売の全株式をニプロに売却すると発表。

https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/57338/Default.aspx

◆2017年3月28日 【アステラス】長期収載品を投資ファンドのユニゾン・キャピタルに売却すると発表。今後の製造・販売はユニゾンが新設したLTLファーマが担う。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ28HWU_Y7A320C1TJC000/

私的には、長期収載品をまるごと売却するのはもったいないんじゃないかなと思っています。

なかには、ある薬効群で併売構造のハブになっているブランドもありますので、ブランド毎に営業協力(コプロ)を行っていきながら長期収載品のブランド価値の最大化を図るという戦略を取ればいいのにと。めんどくさいですが…。
posted by lou at 10:16| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月24日

製薬大手の限界

早稲田大学ビジネススクール教授の山根節氏が、日経産業新聞連載している『製薬大手の限界』は、製薬業界の研究・開発の在り方に関して非常に示唆に富む内容です。

彼は、現在の製薬企業の研究・開発をギャンブルに例えて「世界の大手製薬会社はいわばギャンブルに一時勝ち、そして敗れた」と断じている。

ここに、山根氏の主張を紹介します。是非、ご一読を!

― 製薬大手の限界 ―
日経産業新聞連載 by 早稲田大学ビジネススクール教授 山根節

◆4つの構造変化に企業動転

米ノースウエスタン大学ケロッグビジネススクールのフィリップ・コトラー教授は、マクロ環境を「PEST」の4つの視点から分析する枠組みを提唱した。4つとはPolitics(政治的要因)、Economy(経済的要因)、Society(社会的要因)、Technology(技術的要因)だ。

PESTの4つの構造的変化が「超優良」と言われた企業を動転させている業界がある。医薬品だ。

日本の最大手メーカー、武田薬品工業は2008年まで優良企業の代名詞だった。08年以降は売上高は増えているものの、利益が急減し、直近では赤字に転落している。直接的な要因は同社のブロックバスター(大ヒット新薬)だった糖尿病治療薬「アクトス」の副作用を巡る米国での集団訴訟で、和解に向けて約3200億円の賠償金を引き当てたためだ。武田の最終赤字は上場以来初めてどころか創業以来初である。

■利益が急降下した武田薬品

武田は企業買収を重ねてきた。買収先の売上高が加わるので、海外では売上高が増えている。しかし主力の日本は減収傾向にある。薬価(国が決める薬の公定価格)が引き下げられ、「日本市場で後発医薬品が劇的に増加している」(クリストフ・ウェバー最高経営責任者)からだ。

後発薬とは特許が切れた薬を別のメーカーが製造・販売するもの。特許が切れるとコピー薬の製造が可能になり、価格も安いので、新薬メーカーの売上高が後発薬メーカーに食われて大打撃を受ける。

今、日本で後発薬が増え、薬価が引き下げられるのはコトラーの「PEST」のうち、P(政治的要因)の今日的な最大テーマだからだ。医療費は国が支出する費目の中で最大で、約40兆円に達する。そのうち約8.5兆円が薬剤費だ。政府は財政赤字の最大要因である社会保障費を何としても減らさなければならない。

なぜ日本の社会保障費が膨らんだかといえば、PESTのS(社会的要因)、つまり人口動態上の高齢化が進んでいるからだ。それがPESTのE(経済的要因)にまで悪影響を及ぼしている。国の社会保障費は家計や企業の負担にのしかかっている。

◆「ギャンブル」に勝ち、敗れる -自前の研究所が新薬を生まなくなった-

武田薬品工業はリーマン・ショックの前まで、2.8兆円の総資産のうち、2兆円近くの余剰資金を持っていた。無借金の飛び抜けた優良企業だったのだ。その2兆円を2008年の米ミレニアム・ファーマシューティカルズ、11年のスイスのナイコメッドと、2件の大きな買収案件に投じた。

なぜ08年以降、買収に走り、現在のような7000億円を超える有利子負債を抱える借金会社に変貌したのか。

その理由はマクロ環境を4つの視点で分析したコトラーの「PEST」のうち、Technology(技術要因)の変化がある。

世界の製薬会社では自前の研究所から大型新薬が生まれない状況が続いている。だから買収に走らざるを得ない。その事情は大塚製薬やアステラス製薬でも、米ファイザーやスイスのノバルティスファーマでも同じだ。

武田に巨額の利益をもたらしたブロックバスター(大ヒット新薬)は4つあった。医薬品の製造原価率は極めて低いため、売上高はほとんど粗利と言ってもよい。10年前後にこの4つのブロックバスターの特許が相次いで切れた。

新薬の特許の有効期間は出願の日から原則、20年だ。ということは、武田の4つの大型新薬の特許は1990年前後に出願されたことになる。特許が20年後に切れることは最初から分かっているので、次の20年間に稼いでくれる新薬を開発するべく、90年以降の二十数年間に合計4兆〜5兆円もの研究開発費を投じてきた。だがその投資は結局、実を結ばなかった。

筆者がインタビューした医薬品業界のある関係者は、「武田は研究開発で数兆円をスッた」という表現をしていた。まるでギャンブルで「お金をスッた」というような言い方だったが、残念なことにそれが本質をストレートに表現している。

武田に限らず、世界の大手製薬会社はいわばギャンブルに一時勝ち、そして敗れたのだ。

◆副作用の懸念、大型薬育たず -開発されつくした低分子化合物-

世界の製薬会社の研究所から大型新薬が生まれない。

理由の1つは低分子化合物の開発の限界だ。従来の薬は、世の中に存在しない組成の低分子化合物をコンピューターを使って何百万と合成し、ロボットで細胞やタンパク質と絡めて何らかの反応が確認できたものから最適化してきた。この手法は1980年代に開発され、90年前後からおびただしい数の新薬が世に出た。この手法による低分子化合物は開発され尽くしたといわれている。

2つ目の理由に、薬の効果のメカニズムが分かり始めてきたことだ。患者の遺伝子や生理状態によって効果があるかないかが分かるようになってきた。従来はメカニズムが分からないまま上市され、臨床試験中は見つからなかった副作用が新薬発売後に表れる例があった。現代では副作用は許されず、臨床試験はますます重く課され、承認のチェックが厳しくなり、開発プロジェクトの中止率が上がった。

これまでは新薬は同じ症状の患者に広く処方された。「とりあえず抗がん剤を試してみよう」といった類の治療方針で大量に処方された。効き目の表れない患者に、医師は「薬を変えてみよう」と別の薬を処方する。薬の大量販売が可能になる。

どんな薬も1割の患者には効いても、1割の人には副作用が生じ、8割の人には何の効き目もない、などということが分かるようになった。

こうなると新薬の開発に成功して上市にこぎつけても、特定の患者にしか処方できない「小型薬」にしかならない。

国が財政負担を減らすために新薬の承認窓口を狭め、効果の高い新薬しか承認しなくなってきたことも理由にある。これまでは新薬といっても先行薬の改良程度のものが多かった。今は薬効が格段に高いか、特効薬でないと認められない。病気が治れば患者は薬を必要としなくなるので特効薬は大型薬には育たない。

皮肉なことに、かつての大型薬はずっと服用し続けなければならない慢性疾患、つまり治らない病気の薬が多かった。

◆グーグル、人体にアプローチ -人体という小宇宙を解き明かす新世代の情報技術-

新世代のバイオテクノロジーは人体や生物という小宇宙をデジタル的に解き明かそうとする。技術が成熟するには何十年も要するだろう。現在は医療のIT(情報技術)革命の黎明(れいめい)期だ。

ITの進化で情報が透明になると企業は超過利潤を得にくくなる。「効き目が分からない=情報が不透明」のおかげで製薬会社に発生していた超過利潤が消え始めている。

2013年に女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが遺伝子検査で乳がんにかかるリスクが高いことを知り、乳房の切除手術を受けたことが伝えられた。その検査でベンチャー企業の23アンドミーが注目された。共同創設者のアン・ウォジュシッキ氏は、米グーグルの創業者の一人であるセルゲイ・ブリン氏の夫人だ。ブリン氏らの資金提供も受けながら、06年の創業から現在までに手がけた検査は100万人に迫る。13年に米食品医薬品局(FDA)から一部のサービスにストップがかかり、遺伝子情報のままや祖先に関する情報などに限定してサービスを続けている。

グーグルは超長期的に全人類の遺伝子情報をクラウドに乗せてサービスを提供する構想を描く。法律上も倫理上もハードルは高かろうが、自分の生体情報がいつでも活用できれば夢のサービスにつながる。

その第一歩か、14年1月には「スマートレンズ」の試作品を発表した。ICチップにセンサーやアンテナを組み込んだコンタクトレンズで、涙が含むブドウ糖から血糖値を推計する。スイスのノバルティスと研究を進めている。人体を精密計測する腕時計型端末の開発も進めている。社内の研究部門「グーグルX」のライフサイエンスチームが担当しているという。スイスのロシュ傘下のバイオ医薬大手、米ジェネンテックで研究開発リーダーを務めていたリチャード・シェラー氏を最高科学責任者(CSO)に迎えた。シェラー氏は「唯一無二の遺伝子データベースを利用した創薬の可能性にワクワクしている」と、グーグルのバイオビジネスへの本格参入を示唆している。

◆一発狙いより地道さを -1発ホームラン狙い的戦略は時代に逆行-

米グーグルの研究開発費は日本の製薬最大手の武田薬品工業はおろか、日本企業トップのトヨタ自動車を大きく上回る。グーグルではM&A(合併・買収)で生じるプレミアムとその派生である無形固定資産が積み上がっており、買収に出動できる巨額の資金を蓄えている。新しい提案を生むベンチャーを次々と飲み込み、増殖し続けている。

行く手を阻むのは規制と社会のコンセンサスの壁だ。ラリー・ペイジ氏はこう主張する。「我々が医療データを解析していれば、2015年には10万人の命を救うことができた」

グーグルの迅速かつ粘り強い経営展開と比べ、日本の製薬会社は未だに大ヒット新薬狙いの経営を続けている感がある。武田薬品が二十数年で4兆〜5兆円もの研究開発費をほぼフイにしたことでわかるように、医薬品開発は「賭け札1枚1000億円のギャンブル」と言われる。大当たりを出せばしばらくは安泰だが、最長20年、実質は10〜15年の特許期間中の繁栄はつかの間の宴のようだ。

一発狙い的な戦略自体が、マクロ環境をPolitics(政治的要因)、Economy(経済的要因)、Society(社会的要因)、Technology(技術的要因)の4つの視点で分析したコトラーの「PEST」の流れにそぐわないのではないか。

「ギャンブルで蔵を建てた人はいない」とはあるギャンブラーのせりふだ。そんなギャンブルをいつまでも続ける意味は何か。社会は地道なシステムやサービスを求めているのではなかろうか。新薬メーカーは後発薬を製造すべきではないか。消費者が求めているのは高価な「富者の薬」ではない。従来の病院のイメージとは全く異なる、新世代テクノロジーの医療サービスの経営を志すべきではないか。

現状のがんじがらめの規制の下では到底無理だろうが、未来の医療には企業の力が必要となるはずだ。先進技術と効率経営を併せ持つ企業こそトータルな医療サービスの担い手になれるはず。グーグルのように今から布石を打つべきではないか。
posted by lou at 10:20| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月03日

第一三共とランバクシーは藤沢とライフォメッドのデジャブか?

2チャンネルから拾った藤沢薬品の記事です。

http://mimizun.com/log/2ch/recruit/985657282/

どうして、このような記事に関心を持ったのかというと、神戸大学大学院の三品和弘教授のインタビュー(週刊東洋経済 2014年6/7号)に、『第一三共のランバクシー買収とその後の実質的売却は、まさにデジャブを覚える。藤沢薬品が米国の製薬企業を買収した時と全く同じ過ちを繰り返している』と書いてあったからなのです。

故北原秀猛さんと一緒に、旧藤沢出身で、その後アステラスの社長になった野木森さんへのインタビューを行った際にも、ライフォメッドのことは出て来ていて、野木森さんは下記の2チャンネルの投稿に出てくる30人の「レスキュー部隊」の一員だったそうです。

M&Aに関心のある方は、是非、過去の歴史を学んでください。

◆三品和弘教授の最新刊はこちら・・・

戦略暴走

********************

藤沢薬品 沿革

●1894〜1949年 藤澤商店から藤沢薬品工業株式会社へ:

1894年、藤澤友吉が大阪道修町に「藤澤商店」を創業、3年後に「藤澤樟脳」を発売した。
1900年代には事業の拡大に着手した。
1905年、天六工場を竣工した。
1918年、ニューヨークに出張所を開設した。
1930年、株式会社に改組、加島工場(大阪工場)も竣工したが最先端工場だった。
1943年、現社名に改称。49年には株式を上場し近代的な製薬会社へと進展した。

●1950年代 企業基盤の整備に取り組む:

戦後、藤沢薬品は経営面では長期事業計画などの近代的経営手法を取り入れ、生産面では新工場を設立し、オートメーション化して生産力の向上を図った。

1953年:抗生物質製剤「トリコマイシン」発売
1956年:名古屋工場発足
1958年:チオクト酸製剤「チオクタン」発売

●1960年代 研究開発力と生産力を拡充:

藤沢では早くから製薬企業の成功の鍵を握るのは研究開発の充実だと認識していたため「中央研究所」や「富士工場」開設へと具現化したが、これにより世界に通用する新薬の創製に向けた研究開発と生産の基礎が整った。

1962年、台湾藤沢薬品工業(股)有限公司設立
1964年、中央研究所竣工
1966年、富士工場竣工

●1970年代 高い評価を受けたセファメジン:

1971年、藤沢薬品は日本初の注射用セフェム系抗生物質「セファメジン」を発売、この新薬は世界的に高い評価を得て、世界60カ国以上で販売されたが、これは藤沢の研究開発力の高さを世界に示すものだった。

これを機に、藤沢は国際化へと歩みはじめ、1977年にはニューヨークに「フジサワファーマシューティカルコーポレーション」を、1979年には「ロンドン事務所」を開設した。

1971年、注射用セフェム系抗生物質「セファメジン」発売
1973年、研究開発センター竣工
1975年、高岡工場竣工
1977年、アメリカにFujisawaPharmaceuticalCorporation設立
1979年、ロンドン事務所開設

●71年に発売したセファメジン(CMZ)は最盛期には年間700億円以上も売れ、年商400億円だった藤沢薬品を、その後の10年間に4倍近い規模に飛躍させた原動力になったが、その抗菌力を評価した海外のメーカーからの引きあいも多かった。

海外の有力な数社にCMZのライセンスを供与し、輸出先は世界60ヶ国になったが、この手法ではライセンス料と原料輸出分が手にはいるだけで、自社販売に比べ、収益性が低いために、早くから海外を意識した背景がある。

藤沢がアメリカ市場に進出したのは77年、当時の副社長・藤沢友吉郎相談役は、アメリカ現地法人のオープン・セレモニーで「これから20年かけてじっくりと海外を攻めたい」と挨拶したが、70年代の後半は国内市場が年率2桁で伸びていた時期であり、この頃から欧米進出に動いていたのは武田薬品と藤沢薬品ぐらいであり、他の薬品企業が海外に目を向け始めたのは、81年の薬価改訂により、国内市場の先行きが不透明になってからだった。

●当時の製薬業界には、中小の医薬品企業がひとつの大ヒットで世界の大手にのしあがると言うサクセス・ストーリーはいくつも転がっていたから「海外で売れる製品がありながら、ライセンス供与だったために国際展開するチャンスを逸した、グローバル展開できる製品を開発するだけでなく、販売網も構築しなければならない」と言う考えが、経営陣に芽生え、引き継がれていった。

81年にスミスクラインとの折半出資により、フジサワ・スミスクライン(FSK)をアメリカに設立し、日本で研究開発段階にあった新薬候補を投入しようとしたが、実際には日本から持ち込んで製品化できたのは1品目だけだった。

●売上高を増やすには販売網の拡充が必要になるが、現実に扱える製品が1品目となると簡単には増員できない、合弁によりノウハウを蓄積しながら、zeroから販売網を構築して行くと言う手法は壁にぶつかり、FSKは赤字を垂れ流し続けた。

そこで、今度は企業買収により組織と製品を同時に手に入れようとし、ライフォメッドと言うジェネリック医薬品を扱う企業に22・5%資本参加した(85年)が、新薬専業だと当時の藤沢の財務力では無理があった事と、ライフォメドにも新薬にシフトするビジョンがあったからである。

●ライフォメッドに対する出資比率は徐々に高め、89年には30%になっていたが、約700億円を投じて完全に買収し、拡大基調のライフォメッドの事業と赤字続きのFSKの事業を統合するため、100%子会社化していたFSKとの合併に踏み切った。

ところが91年暮れになり、ライフォメッド時代の医薬品承認申請データに虚偽が存在した事がFDAの検査で発覚したため、統合して発足した新会社「フジサワUSA」は、新製品の承認申請取り下げを余儀なくされた。

製品の一部も販売中止になったが、その後、更に追い打ちをかけるように工場で品質問題が発生したため、92年にフジサワUSAは7@`200万ドルの赤字を計上し、連結決算でも93年には初の赤字に転落した。

●このような状況に陥った要因として、92年6月に新社長に就任した藤山朗・現会長は、ライフォメッドに資金を投入しても経営には関与せずに非常勤役員を送る程度に抑えていた事があると判断した訳で、93年1月には30人の「レスキュー部隊」をアメリカに派遣した。

問題が、申請データや工場の品質管理に関するものだったため、部隊は研究所や工場から優秀な人材をかき集めて編成されたが、これを指揮してフジサワUSAの会長に就任したのが研究開発部門出身の取締役だった青木初夫社長であるが、日本から急遽派遣された言葉もつたないし、アメリカの制度に関する知識も充分ではないメンバーには大変な仕事だった。

●レスキュー部隊はアメリカで約2年間奮闘し、94年8月にはFDAによる申請保留処置が解除されたため、赤字は縮小に向かったが黒字化するまでには至らず、98年3月、後発品事業からの撤退を宣言、これに伴う460億円の特別損失を計上したため、単独では369億円の赤字、連結では15億円の赤字決算になったし、その前には、反トラスト法違反事件も起こしていたため、藤沢友吉郎会長は相談役に退いた。

●このように、藤沢薬品の海外(アメリカ)事業は散々だったが、そのアメリカ事業が牽引車となり、99年、2000年と業績は急回復し、2000年9月中間決算を見ると、連結海外売上高比率は36%になり、外部売上高の19%、営業利益の44%を北アメリカで稼いでいる。
posted by lou at 11:42| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月30日

『資本主義の終焉と歴史の危機』を読んで

GWの前半、一冊の本を購入しました。

◆ 資本主義の終焉と歴史の危機(水野和夫著、集英社新書)

『1974年が資本主義の終わりの始まり』であるという衝撃的な文章に惹かれて、3時間ほどで、一気に読み終えました。お薦めの一冊です。

【詳細はこちら】⇒⇒ 資本主義の終焉と歴史の危機

資本主義の終焉と歴史の危機


購入前に、著者の水野和夫氏をウィキペディアで検索すると「仙谷由人の経済ブレーンであり、民主党政権では政権入りし内閣官房内閣審議官などを務めた。」との記述があり、民主党時代の経済政策の無能さが頭をよぎりました。しかし、『資本主義の終焉』という思いもしない文言に惹かれて購入。

いきなり西暦1350年から現代に至るまでの経済覇権国の金利の推移から始まる広範なデータに基づいたシンプルな説明は、資本主義が終わることを奇異に思わないほど説得力のあるものでした。何者にも影響されない、気骨のある結論の導き方を体験しました。

先進国が、資源や労働力を安く買いたたける後進国を踏み台に資本を蓄え、それによって近代化を遂げた。それに行き詰ると、ごく一部の資本家が、今度は先進国内の中流階級から資産を吸い上げる始めた。この過程がグローバル化であるという説明は、本当に目が覚めました。

また、「資本主義の先にあるシステムを明確に描く力は今の私にはありません。」と著者が正直に述べていますが、ここにこそ、著者が我々が次に何をすべきかを示していると思います。

資本主義の世界の次にどんな世界が来るのか、我々自身が真剣に考えていかなくてはなりません。

そういった意味で、前々から気になっていた「超高齢化社会をどのように生きていくのか?」という課題とともに、今後、私は何をすべきかの指針を与えてくれた一冊でした。
posted by lou at 17:43| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月19日

フィリップ・コトラー氏の来日公演

コトラー・カンファレンス 2013より

現代マーケティングの父と呼ばれるフィリップ・コトラー氏の約10年ぶりの来日講演となった『コトラー・カンファレンス 2013』の様子をMarkeZine編集部が伝えていました。Twitterでは書ききれないので、特に印象深かった部分をブログに書き記しておきます。

詳細は・・・

http://markezine.jp/article/detail/17989

http://www.advertimes.com/20130619/article117385/

1.愛される会社の条件

(1)すべてのステークホルダーに注意を払っている。投資家やオーナーだけではなく、チームとしてみんなが働く。
(2)経営者が会社を愛している。そして多額の報酬をもらっていない。
(3)非常に話しやすい経営者。部下が気楽に提案できる。
(4)社員の報酬が高い、研修期間も長い
(5)カスタマーに興味をもっている
(6)サプライヤーを重視している、買いたたいたりしない。
(7)コーポレートカルチャーがある
(8)マーケティング予算が低い

最後の「マーケティング予算が低い」は意外だが、それには理由がある。「顧客がその企業を愛して協力してくれるから。その会社の商品・サービスを使ってどんなに自分がハッピーかを宣伝してくれるからなのです」。

2.日本は、ウォールストリートの資本主義に傾いているのではないかとも指摘。株式市場や金融のように短期的に何をすべきかに偏り過ぎている。業績が悪いと病気のように扱われ、長期的視点が持てなくなってしまう。米国企業は四半期の業績報告をやめ、通期で報告することで、ウォールストリート、株式市場の影響をコントロールしている。

posted by lou at 13:54| エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月08日

医療と健康の常識を疑え

GWは、文藝春秋5月号の特集『医療と健康の常識を疑え』を読んでいました。医学は日々進歩しているのですが、素人にもわかりやすく、その進歩を感じさせてくれる(しかも正しい)記事は少ないので、こういう記事がもっと増えてくればと思います。

文藝春秋5月号.jpg













意外だったり、気になった記述を抜き書きしてみました・・・

1.糖尿病 透析を防ぐ新しい「特効薬」

●血糖値やA1Cは測っても、腎症の疑いを示す尿アルブミン値を測らない医師は意外に多い。

●糖尿病の合併症のうち、最も恐ろしいのが糖尿病性腎症です。腎症が悪化すると、週3回、1回4〜5時間かかる人工透析をずっと続ける必要があります。毎年1万7,000人の糖尿病患者が新たに人工透析を始めますが、この人たちの5年生存率は60%しかありません。

●糖尿病性腎症に関しては、まだ早期であれば、高血圧の治療に使われていた「テルミサルタン(商品名:ミカルディス)」が画期的な治療効果をもらたすことがわかったのです。尿アルブミン値が18mg/gを超えると腎症の疑いがありますが、100〜300mg/gという、かなり症状の進んだ患者さんでも糖尿病性腎症を改善できた、という論文が平成20年に発表されました。その後、やはり血圧を下げる薬である「オルメサルタン(商品名:オルメテック)」にも、腎症を改善する効果があることがわかりました。

2.認知症予防は毎日三十分の昼寝から

●私が認知症のリスクファクターを研究したとき、遺伝子的に本来認知症になりやすいとみられる人でも、「30分以内の昼寝」をしている人は認知症になりにくいという結果が出ました。逆に「1時間以上の昼寝」をしている人には認知症になりやすい傾向が確認できました。

3.アルツハイマーは「第三の糖尿病」

●「これまで糖尿病は、インスリンがまったく分泌できない1型糖尿病と、インスリンの効きが悪くなる2型糖尿病とに分類されてきたが、アルツハイマー病は『3型糖尿病』と呼ばれるべき証拠が得られた」、こう語ったのは、米ペンシルバニア大学医学部精神医学・神経学のスティーブン・アーノルド教授です。よくぞ、この名前を付けたものだと、私は感心しました。

●糖尿病の研究では長い間、脳に与える影響はほとんど注目されませんでした。ところがしっかり調べてみると、糖尿病の人はそうでない人より2倍もアルツハイマー病になりやすいことがわかりました。

●脳のエネルギー不足がアルツハイマー病の原因と考えると、ケトン体を与えることによって、神経細胞の活性が元に戻り、アルツハイマー病の症状が改善される可能性がある訳です。このケトン体を一番多く含み、摂取しやすいのがココナッツオイルです。

4.高血圧 医師の診断は気にするな

●現在は脳卒中患者のうち、84%が脳梗塞、脳出血は僅かに13%というデータがあります。脳梗塞は血管が詰まる病気ですから、血液を送り出す力を強くして、血管内のゴミを流すことが必要です。しかし、降圧剤を服用すると、ゴミが流れにくくなり、脳梗塞のリスクが高くなってしまうのです。

●1999年から2007年に、福島県郡山市に住む男女4万人を対象に行った調査によると、収縮期血圧が180以上の群では、降圧剤を使った人は使わなかった人に比べて、脳梗塞などの死亡リスクが5倍にも高まったというのです(とはいえ、極端な高血圧を放置しておくと、血管や心臓に負担をかけますし、脳出血のリスクもあります!)。

5.補聴器は早くつけた方がいい

●内耳にある有毛細胞が大きな騒音等で壊れてくると、音の刺激が脳に伝わりにくくなり、脳が次第に衰えていきます。運動しないと身体が鈍るのと同じように。ですから、耳の老化が進行する前に、補聴器をつけて少しでも聴力を保ち脳に刺激を与えることが大切です。


医療と健康の常識を疑え ***********

■腸内細菌が寿命を決める(武藤徹一郎/辨野義己/鳥越俊太郎)
■がんは本当は減り始めている(若尾文彦)
■糖尿病 透析を防ぐ新しい「特効薬」(牧田善二)
■認知症予防は毎日三十分の昼寝から(朝田隆)
■アルツハイマーは「第三の糖尿病」(白澤卓二)
■長野が沖縄を逆転! 長寿県・短命県を分けた「新・生活習慣病」(森下竜一/島袋充生)
■高血圧 医師の診断は気にするな(松本光正)
■高齢者はやせすぎで早死にしている(葛谷雅文)
■90歳を超えてもできる手術(米田正始/福永哲)
■補聴器は早くつけた方がいい(山西敏朗)
■肩こり、腰痛は心が生み出す(平木英人)
■病院で死ぬのも悪くない(村田幸生/松尾あゆみ/大堀洋子)
■ひざ痛はグルコサミンより専門医(戸田佳孝)
■痛風はビールで治せ(田代眞一)
■アンチエイジング七大論争に「最終決着」(坪田一男)

********************************
posted by lou at 18:50| エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月19日

ドラッカー氏の考えるテクノロジストとは・・・

日経BPのメルマガに載っていた記事です!Tweetには長いけど、引用もできないし・・・。もったいないので、ブログで昇華します。

◆ドラッカー氏の自宅で伺ったマネジメントとITの接点

by 酒井 耕一氏(日経情報ストラテジー)


経営学の大家、ピーター・ドラッカー氏を自宅に訪ねたのは、米カリフォルニ
ア州の日差しが暖かい、ある日の午前だった。クレアモントの自宅前にクルマを
停めると、ちょうどご夫人とお嬢さんが日課のテニスから戻り、家に入るところ
だった。ドラッカー氏は毎朝、二人のために朝ご飯を作ることを日課にしている。
挨拶とそんな話をしながら、家に入ったと思う。もう9年近くも前になる。

自宅は大豪邸というわけでもない、普通の米国の邸宅で、ドラッカー氏の応接
室もごく一般的な広さだった。マネジメントについてドラッカー氏に聞くと、す
ぐに出てきた言葉が「テクノロジスト」だった。初めて聞く言葉だったので、定
義を聞くと、自宅の近所にある病院の循環器科で働く女性看護師の話になった。

その女性はとても親切で評判もいい。スキルも高いので、引き抜きの話もよく
来る。管理職になる機会もある。しかし、彼女はプロとしての今の仕事と循環器
科にこだわり、給与やポストにそれほどこだわっているわけではない。これから
そうした働き方をする人物がどんな職業にも増えてくるだろう。そんな話を強調
した。

 ちょうどその時、島津製作所に勤務する田中耕一氏がノーベル賞を受賞し、時
の人となっていた。田中氏も民間企業の研究者として高いレベルの研究を重ね、
世界で一流の賞を受け取った。日本版テクノロジストもすでに登場し、増えてい
くのだなと、ドラッカー氏の話を聞いて感じたものだ。

ドラッカー氏のテクノロジストの考えは、マネジメントから一歩踏み出した概
念と思っている。マネジメント(経営管理)には、ワーカーら管理対象となる部
下がおり、個々の力を最大限に引き出して、組織力を強めることが要帝にある。

ただテクノロジストが増えると組織のあり方は変わる。各自の仕事の専門性が
高く、さらに自立的に自身を管理する。時間帯効果など計数管理も自分で行うか
ら「テクノロジスト」というわけだ。だとすればマネジメントは、テクノロジス
トに対して、管理というよりも把握が主な仕事になる。

そこからドラッカー氏の話は「名称はCIO(最高情報責任者)でも何でもいい
が、チャンスを増やして企業価値を高める仕事をすることが大切」と発展した。
ドラッカー氏は高齢のせいでこちらの質問を聞き返すことはあっても、決して意
味を取り違えたり、話の要点がずれたりすることがなく、「さすが」と感心した
ものだ。

ドラッカー氏があえてCIOといったのは、マネジメントにとって情報の整理と
活用が重要な仕事になるとの認識があったからだ。単なる社員の管理では、付加
価値を生む仕事にならない。

テクノロジストを増やす職場風土を作り、彼や彼女らの研究テーマや完成度、
その分野に関する外部の市場動向を把握して、企業の進路を決めていくことが大
切。そこで出番となるのがCIOらによるIT(情報技術)活用なのだ。自社のテク
ノロジストの把握から、それが自社にもたらす競争力強化、さらに今後の戦略な
どをITで構築することこそ、新しいマネジメントの概念なのだ。今の言葉で言え
ば「タレントマネジメント」もそれに含まれるだろう。

まさにそれは今の日本企業に当てはまる。新しい市場を切り開くには、専門性
が高く、かつ斬新な発想を持つテクノロジストの存在が欠かせなくなっている。
同時にそうした社員を育て管理する新しいマネジメントのあり方も求められてい
る。経営資源を最大限活用するためには、ドラッカー的なマネジメントとITの活
用が不可欠なのだ。

ドラッカー氏が何度も右手を振りながらCIOやITの役割について力説していた
ことを今でも思い出す。

マネジメントとITが融合する時代が来ている。日経情報ストラテジーでは12月
から「ドラッカーとIT」をテーマにリーダー講座を開設する。講師は長年、CIO
養成講座で教える森岡謙仁氏。ドラッカーの研究者としても知られる森岡氏は、
CIOの役割を踏まえた上で、ドラッカーとITから新しいマネジメントを考えるこ
とがこれからの時代のマネジャーの役割と説く。どんな役職にいる方も、新市場
の開拓や新製品の開発を考える時には、ドラッカー式テクノロジストを活かす手
法と、IT経営の概念の双方から考えると突破口が見つかるはずだ。

                  
posted by lou at 09:47| Comment(1) | TrackBack(0) | エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月21日

金環日食

みなさん、金環日食、見ましたか?

前日の予報では、曇だったので、全く準備をしていなかったのですが、今朝、起きるといい天気ではないですか!

早速、近くのコンビニに観察用のグラスを買いに行ったのですが、なんと売り切れ。

デジカメ越しでの観察になりました。

日食1.jpg


日食2.jpg


CIMG0916.jpg



東京で前回見られたのは173年前の1839年9月8日、次に東京で見られるのは、2312年4月8日。300年後です!

金環日食の前回と次回はいつ?

今日、中間テストの娘と、遅刻を気にしながら、見とれていました。

人間の一生は、短い!

posted by lou at 10:10| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月28日

前田敦子のAKB卒業について

ここ数年、医薬品マーケティングの新戦略に関して、AKB48のマーケティング戦略との類似点を提示してきましたが、なんと、あっちゃん、卒業ですと(ちょっと遅いか( ̄Д ̄;;)!

WALL STREET JOURNAL(日本版)にも、記事が載ったのは驚きでしたが…。



卒業宣言が、引越したばかりのさいたま市内のさいたまスーパーアリーナというのも奇遇です。

あっちゃんが残した言葉で、印象に残っているのは…

「正直不安でいっぱいですが、たくさんいる後輩のためにも、私が卒業して、歩き出さないといけないと思います」

これって、年功序列型の日本企業の諸先輩方も聞いて欲しいなぁ〜。今、日本は、若者を育てていかなければ!50歳になったら、役員、役職を外れ、フェローとして半分会社、半分独立というキャリアパスがあってもいいんじゃないでしょうか?

おととしの春、学校を卒業した人などのうち、就職できなかったり早期に辞めたりした人が大学や専門学校では2人に1人、高校では3人に2人の割合に(内閣府の推計)というのですから、事態は深刻です。

それにしても、この写真集、表紙で買っちゃうなぁ〜。

前田敦子写真集『不器用』





posted by lou at 17:26| Comment(2) | TrackBack(0) | エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月21日

『希望』の持つ力

ショーシャンクの空に The Shawshank Redemption

偶然、そしてTwitterやFacebookを通じて、この映画に辿りついたのですが、本当にいい映画でした。ニュー・シネマ・パラダイスと共に、私の一押しの映画です。



物語は、妻と妻の浮気相手を射殺した罪で誤認逮捕され、冤罪で終身刑に服したアンディが、20年近くの刑務所生活の中でもおのれを見失わず、ついには脱獄に成功し、人生を大逆転させて終わります。

【あらすじはこちら】

冤罪や刑務所内の犯罪が随所に出てくるのですが、目をそむけてしまうことなく最後まで見れたのは、全体を貫いている『希望』というキーワードのおかげ。物語最後の大逆転は、アンディが罪を犯すことでなし得たことなのですが、ラストシーンは、清々しく、静かな感動の余韻を感じることができます。

『希望』という言葉が、この物語でどのように使われたか、辿ってみましょう・・・

アンディが真犯人の手掛かりを得て、刑務所内で再審申請をしようとすると、数々の妨害、暴行に遭います。傷だらけのアンディを見て、刑務所内でのアンディの親友レッドが彼に忠告します。

●レッド:ひとつ言わせてくれ。希望は危険だ。希望は人を狂わせる。

Red: Let me tell you something my friend. Hope is a dangerous thing. Hope can drive a man insane.

脱獄したアンディは、一通の手紙をレッドに残し、レッドは仮釈放後にその手紙を読みます。その当時、レッドは、望んでいたシャバの空気になじめず、生きる意義を見失っていました。

●アンディの手紙:レッド、希望は素晴らしいものだ。おそらくもっとも素晴らしいなものだ。そして素晴らしいものは死なない。

Andy:Remember, Red, hope is a good thing, maybe the best of things. And no good thing ever dies.

刑務官による日常的な暴力と絶対服従、間違っているとは思っていても、生き延びるために希望を捨て、刑務所内のルールに迎合することに慣れきってしまったレッド。彼は、おそらく、この時初めて、アンディがなぜ脱獄に成功したか理解したのでしょう。

無実の罪で刑務所に服役しても人間の尊厳を失わず、理不尽な暴力を受けても仲間のために刑務所内の図書館の本を増やしたり、刑務所に服役中に高校卒業の資格を取らせたり、出来る限りのことをやったアンディ。それは、脱獄して人生をやり直したいという希望の成せる技だったのです。

その後、レッドはアンディと一緒に暮らすため、アンディが暮らす土地を訪ねるのですが、その時、レッドは独白します。

●レッド:国境を越えられるといいが。親友に会って握手ができるといいが。太平洋が夢で見たように青いといいが。俺の希望だ。

日本語だと伝わらないのですが、英語のセリフは・・・

I hope I can make it across the border.
I hope to see my friend and shake his hand.
I hope the pacific is as blue as it has been in my dreams.
I hope.

刑務所で、先輩として「希望は危険だ」とアンディに忠告したレッドが、アンディに会いに行く時、4回も"hope"という言葉を使っています。

仮釈放中は、指定された住居を離れて旅をしたり、指定された仕事を辞めることは禁止されています。でも、レッドは法律を犯します。それは、アンディともう一度人生をやり直したいという希望の力によって突き動かされたからです。

**********

自分の話ですが・・・

刑務所を会社に置き換えてみたり、アンディが仲間のために刑務所内で行った事を仕事に置き換えたり・・・。

このテーマは、もう一度、神田辺りで飲んだりして、考えを熟成させてから書こうと思います。

今、みなさんと共有したいことは、『希望』を心の片隅に押し込んじゃだめだ!ということです。

では、また。



posted by lou at 22:27| Comment(4) | TrackBack(0) | エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月16日

ソーシャルタレントマネージメント

人材のマネジメントに対する考え方は、『終身雇用・年功序列制度』から『成果主義』、そして『タレントマネジメントの時代』へ大きく変わってきました。

この流れに関しては、福田敦之さんの人事マネジメント「解体新書」をご覧ください!

どんな企業も、良い人材を確保することが業績を躍進させる糧になります。逆に、人材の流出によって、良い人材が確保することができなくなった企業は業績を悪化させ、存続自体ができなくなってしまうこともあります。

そして良い人材というのは、インタンジブルズ(会計上のバランスシートには載らない企業資産)なのです。

昨今の企業経営は、株主の過大な要求に屈して、数字で表現できる事にばかりを追求し、その結果、インタンジブルな事がいつのまにやら劣化してしまう傾向にあります。気が付くと、新たな製品が出てこなくなり、陳腐なマーケティング手法を繰り返したり・・・。これでは、当期の決算は乗り切れても、数年後には危機がやってくるでしょう。

Googleの優秀なエンジニアがFacebookに流出し、その結果、Facebookが急成長を遂げた例を見ても、良い人材の確保が最も重要な経営課題であることを実感させます。これは、IT業界同様、イノベーションが推進エンジンである製薬企業にも当てはまります。

先日行われたガートナーのサミットでは、 人材マネジメントシステムを販売している株式会社シルクロード テクノロジー(SilkRoad technology Corp.)のデボラ・ジェンセン氏のスピーチがあり、そこでは、Apple、Google等グローバル・ハイパフォーマンス企業では、この人材マネジメントに関して、さらに先進的な試みが行われていることが紹介されました。

コンセプトは、"ソーシャルタレントマネージメント"

具体的には、下記のようなモノです。

1.部署を超えた社員同志のアドバイスや意見を自由に投稿できる(Chatterのようなもの)。

2.アドバイスを受けた人やグループが、そのアドバイスが役に立ったら、ポイント(評価)を与える(Facebookの"いいね!"ボタンのようなもの)。

3.ポイントがたまると、勲章がその人に授与され、誰が、どの分野の勲章が多いのか一覧できる。

4.新たなプロジェクトや欠員が出たら、勲章を元に、最適な人を探し、オファーを出す。

5.オファーを出した側と出された人の両者が合意すれば、そのプロジェクト、部署に異動する(多分調整は、人事部門が行う)。

このシステムの底流には、仕事の評価や、その才能をどれだけ必要としているのかは、実際に最前線で働いている人が一番よく知っているのであって、人事やマネジメント層が判断することではないという思想が存在しています。

デボラは、それを下記の言葉で、表現していました。

Employee Centric Talent Management
(社員中心の人材活用)

タレントマネジメントのステージ.gif


実際に、Apple、Google等がどの程度まで、こういった思想を具現化しているかどうかはわからないのですが、世界の超一流企業では、こういった発想が当たり前のように生まれるということが凄い!

日本企業は、この分野では相当に後れを取ってしまっていると強く感じた次第です。”社畜”という言葉とは真逆のものですね。

働く人に対してその貢献に値する魅力ある仕事や機会を提供し、成長を実感させることのできている企業が繁栄していくという時代になっていくことでしょう。



posted by lou at 17:05| Comment(2) | TrackBack(0) | エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月30日

リピトールの功罪

本日、11月30日、リピトールの米国での基本特許が切れるとのこと。

それに関連して、Harvard Business Review Blog NetworkにCHRISTOPHER BOWE氏のファイザーに関する投稿がありました。そこでは、ここ10年のファイザーの戦略の過ちを痛切に批判しています。

特に、企業分割したアルトリアの例を出して、ファイザーも同様な運命を辿るとの推論は、知人の顔が浮かんできて、ちょっと複雑です。日本ではついこの間、ワイスとの統合が終わったばかりですから・・・。

日本でも、2005年、山之内製薬藤沢薬品工業の統合によるアステラス製薬の誕生、2007年、第一製薬三共製薬(第一三共)、三菱ウェルファーマ田辺製薬(田辺三菱製薬)、協和発酵工業キリンホールディングス(協和発酵キリン)などの大型のM&Aが続出しました。

その後、やや沈静化したのですが、最近ではサノフィ・アベンティス日医工との提携、テバによる大洋薬品工業の買収とジェネリック医薬品メーカーのM&Aがらみの動きが出てきています。

しかし、製薬業界のM&Aブームの火付け役であるファイザーの行く末を見ると、M&Aによる規模の拡大が必ずしも企業価値を高めたかどうかは疑問に思います。

以下、BOWE氏のブログ記事を心して読んでいきましょう。

*********

さらば、リピトールよ。ただし、その教訓は忘れるな!

http://blogs.hbr.org/cs/2011/11/say_farewell_to_lipitor_but_do.html

大きな企業買収の70%は、想定された価値を創造することに失敗している。AOLとタイム・ワーナー、ダイムラーベンツとクライスラー、スプリントとネクステル(双方、携帯電話事業者)を思い起こして欲しい。しかし、主力製品リピトールを持つワーナー・ランバートを2000年に買収したファイザーの例は、数少ない例外であろう。リピトールは、11年間で、1,310億ドルの売上をもたらし、歴史上最も成功を収めた医薬品になった。

しかし、リピトールの基本特許は11月30日で切れ、ゆくゆくは安価な抗コレステロール薬の後発品が市場に溢れ出てくるであろう。そこで、疑問が残る。それは、価値があったのだろうか?そして、他の企業はファイザーの経験から、大きな企業買収について何を学ぶことがでるのだろうか?

巨額なリピトールの売上にも関わらず、最初の質問の答えは、多分、「価値はなかった」ということになるだろう。そして、他の企業にとっての教訓は、何を望むかに気を付けよ!ということで、さらに次の3点に集約されるのではないだろうか。

1.一つの収益源に頼り切ってしまう戦略に陥るな

ファーザーがワーナー・ランバートとの交渉を始めた時、ファーザーは今日とは全く異なった企業であった。小さくて、旺盛な野望を持ち、当時評判が高かったメルクにやや劣等感を持っていた。当時、ファイザーは、ワーナー・ランバートのある製品のマーケティングにおいて提携していたが、買収の理由は、リピトールを完全なコントロール下においてビッグになろうというものだけだったであろう。

10年が経過して、ファイザーは持続可能な将来を描くのではなく、より傲慢な動機に支配されるようになっていった。企業の将来を守っていく戦略は、多角的な投資であり、ダブル・ドーン(ブラックジャックで、配られたカードを見て、賭け金を2倍にして1枚カードを引くこと)ではない。そして、巨額な買収で大きくなることが、革新的な新製品を生み出し続けるという製薬企業のコア領域でより良い選択肢であるかどうかは未だ証明されていない。

2.戦略上の混乱が起こっている時に、さらに混乱するようなことをするな!

リピトールを手に入れた矢先に、すでに製薬業界のアドバイザーや投資家達は、リピトールの特許が切れて、ファーザーの売上の約4分の1が消えてしまうのではないかという不安の虜になった。当時、リピトールは急激に売上を伸ばしている最中であり、強力な競合製品であるゾコール(メルクが販売、日本名:リポバス)が後発品によって大打撃を被り、メディケイド(低所得者・身体障害者に対して用意された公的医療制度)に代表される支払サイドの政策の転換期(*)を迎えていた。

* http://www.msapr.com/images/060420PPTslides.pdf

本質的な成長ではない"馬鹿の一つ覚え"として、ファイザーは巨額なM&Aを重ねていった。2003年のファルマシア(セレブレックス:リウマチや関節炎の痛み止め)、2009年、ワイスを統合し、ファイザーは世界一の規模を誇る製薬企業となった。しかし、これらの買収は、分裂と混乱の原因となり、ファイザーは企業統合に苦しむこととなった。

ファイザーが、巧妙に世間の関心を集めている間は、リピトールに依存していることを忘れさせた。将来の特許切れ製品を考慮した開発計画や、追加の特許を追加し、製品の寿命を延ばすという高度なテクニックを駆使していくうちに、企業風土の変化に拍車がかかり、新たなモデルが確立された。2006年のリピトール売上を分離して考えれば、フォーチュン200に入るほど優れたものになったであろう。

アルトリア(**)の例を考えてみよう。アルトリアは、業績不振のために分裂した。米国のたばこ産業の低迷が無ければ、2008年に高成長のフィリップ・モリス・インターナショナルと業績が悪化したフィリップ・モリスUSAが分離するような国内外での分裂はなかったであろう。そして、分離した企業のCEO達は、彼らの業績を盾にとり、個々の企業のビジネスを前進させるモチベーションが非常に高い。ファイザーも同様な道筋を辿る可能性が高い。

**アメリカを本拠地とする、食品・タバコ産業グループ。食品分野での売上高は世界第1位。米国外事業を手掛けるフィリップモリス・インターナショナルのスピンオフに関しては、下記参照ください。

http://www.asyura2.com/07/hasan50/msg/219.html

3.買収はイノベーションを見つけるべきで、イノベーションの代わりにはならない

リピトールの合計売上1,310億ドルは株主に何をもたらしたのか?ファイザーの株価は、ワーナー・ランバート買収がアナウンスされた5ヶ月後の2000年6月末に歴史的な高値を付けたが、現在の株価はその60%を割り込んでいる。配当や他のリターンによって多額のキャッシュを分配しているにもかかわらず、株主価値は低迷し、ファイザーの株価は大きく値を下げている。

売上において、一つの製品へのの極度な依存、問題解決に繋がらない買収での目くらまし、ファイザーは自身の改革に失敗した。

ブランド医薬品に対する高価格が主な論拠になっている業界において(彼らはそれらをイノベーションと思っていたのであるが)、長期間の企業の健全性を保つために行ったリピトールを得るために行った巨額の買収の失敗は、驚きと疑問をもって見守られている。

リピトールは衰退していくであろうが、イノベーション主体の産業のリーダーは、この事を教訓として心に留めて置くべきであろう。

**********

*日本の製薬企業のリストラ情報が下記のページのコメント部分にあります。ファイザーに関しても、日本を中心とした記事(若干、米国の記事もあります)が載っていますので、参考にしてください。リストラは、何らかの経営判断の過ちの帰結だと思います。

http://blogs.dion.ne.jp/lou/archives/4266785.html



posted by lou at 15:13| Comment(2) | TrackBack(0) | エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月13日

そろそろMR数は減らすべきではないでしょうか?

製薬会社225社で構成する医療用医薬品製造販売業公正取引協議会が、MRによる医師への接待にかかわる自主規制を、来年年4月から強化することになりました。

本ブログでも、『MRの接待禁止と営業組織の問題点について(2011年06月20日)』で、今までのMRのやり方はこれ以上通用しないと糾弾しました。

http://blogs.dion.ne.jp/lou/archives/10205541.html

現在、来年の4月に向けて、MRの在り方に関して業界内では様々な議論がなされているようです。

接待で営業成績が伸びるのは、製品の差別化ができないから。差別化ができない製品ならば、わざわざMRという人的リソースを用いないで、もっとコストの安いWEBを用いた方法に変えればいいのでは

また、経済的に余裕が無ければ、接待はできません。しかし、2010年問題によって、多大な利益を生み出せる企業は限られてきています。利益率は低いと分かっていても、ジェネリック医薬品も扱う新薬メーカーも出始めてきました。

このように考えると、接待だけでなく、人員を減らす等、営業コストを削減して生き残りをかけるという戦略も成り立つわけです。

こんな状態で、現状のMR数を存続させていって、良い未来が訪れるのか・・・。私は、疑問に思います。

2000年度からのMRの増加状況を見てみましょう。

スライドNo.1は、医薬品生産金額MR数の伸びをグラフにしたものです。

医薬品生産額とMR数_実数.JPG


ほとんど、パラレルに変動しています。

これを2000年度のそれぞれの数値を100として、指数化したものが、No.2です。2004年度こそ差が大きくなっていますが、MR数の増加は、医薬品生産金額の増加の比率に等しく変化しています(2004年度は、カルブロック、リバロ、エビスタ、オルメテック等が新薬採用率上位になった年です)。

医薬品生産額とMR数_指数.JPG


医薬品をたくさん作れば、販売に力を入れざるを得ないということでしょうか・・・。もしくは、その逆で、販売量が多くなれば利益も多くなり、その結果、多くのMRを雇うことができるようになったのでしょうか・・・。

さて、今度は、医師数とMR数の伸びを比べてみましょう。No.3のグラフをご覧ください。

医師数とMR数_実数.JPG


営業の対象である医師が増えれば、当然、人的リソースも増やさなくてはなりません。

しかし、医師の増加は、きれいに一直線上に並んでいますが、MR数の増加はちょっと変則的です。

先ほどと同様に、2000年度のそれぞれの数値を100として、指数化してみましょう。No4を見てください。

医師数とMR数_指数.JPG


2004年度に、医師数の増加以上にMR数が増え、その後減少せずに現在に至っていることがわかると思います。

2004年度は、ファイザーがMR3,600人体制を敷き、2005年度は、4月にアステラス製薬、10月に大日本住友・第一三共が誕生した年です。

業界大手による再編により、競争の激化が予想され、各社とも人的リソースを拡充したと思われます。そして、1社を除いて、過剰なリソースの調整は行われず、今日に至っています。製薬企業大手の経常利益、純利益は、その時期、M&Aの要因を除けば、ほぼ横ばいですから、経営上、あまり問題にならなかったのでしょう。

MR数を医師数の伸びと同等に調整すると、2008年度のMR数58,400人5.6%3,242人余剰という計算結果です。

時代は変わりました!余裕があるから、無理にリストラをして社内がギクシャクするよりいいじゃないか!という時代ではありません。当時のツケをそろそろ精算しなくてはならない時期が迫ってきています。

では、単純にMR数を減らせばいいのでしょうか?

それを議論するためには、各社の製品ライン、パイプラインを見てみる必要がありますし、リスクは高いが新薬で高収益を望むのか、利益は減るがジェネリック医薬品へ傾注して手堅くいくのか、そういった経営戦略とも照らし合わせる必要もあります。自社のMRが持っている能力差も考慮する必要があります。

しかし、私はどこの企業も営業の人的リソースを減らすべきだと考えています。

そもそも、MRの役割って何ですか?

⇒⇒資料をすべてダウンロードする


posted by lou at 15:02| Comment(3) | TrackBack(0) | エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月27日

Google Healthの終了について

現地時間2011年6月24日 AM11:01、Google Healthは、約3年の歴史に幕を引くことが発表されました。2012年1月1日をもってサービスは終了します(会員が保存したデータは2013年1月1日までは保存され、ダウンロードが可能)。

Google

Googleのブログにはサービスの終了に関して、次のように記載されています。

**********

健康に問題がありながらも技術に詳しい人や、その介護者の方々はGoogle Healthを利用してくれました。

また最近ではフィットネスや健康問題に関心のある人も利用してくれるようになっていました。

しかし一部の人に使っていただいている機能を、広くひろめていくための方策を見つけることができませんでした。健康問題に日々関心を持っている人に、広く使っていただくための方法を発見できなかったのです。そのため、Google Healthの今後について、苦渋の選択をせざるを得なくなったというわけです。

http://googleblog.blogspot.com/2011/06/update-on-google-health-and-google.html

*日本語訳は、TechCrunch日本語版を拝借! 
  http://jp.techcrunch.com/archives/20110624google-shuts-down-medical-records-and-health-data-platform/

**********

どうやら、サービス終了の理由は、ユーザー数の伸び悩みのようです。

Google Health発足当時、医療機関の増患対策やDTC広告のプロジェクトを抱えていた私には、Google Healthはとても魅力的なものに見えました。パーソナルな情報を元に、ピンポイントで広告(もはや狭告?!)が打てるからです。相当な効果が見込めると思いました。

また、社会的にも、自分のデータであるにもかかわらず、医師や医療機関が保有していて、自分が自由に見ることができない医療データがいつでも見れ、自動的に一生涯を通じて記録してくれる・・・。素晴らしいではないですか!

では、なぜ、一部の人しか利用しなかったのでしょうか?

私が考えた理由は・・・

**********

1.多くの患者には医療情報は活用できなかった

Googleの使命は、『世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること』ですが、医師や薬剤師と異なり、多くの患者は、医療情報にアクセスできても、使うすべを知らなかった、ということでしょうか。一部の非常に勉強家の患者には使われたようですが・・・。

2.医療情報を活用する人々はもともと少ない

日本の患者調査によれば、2008年10月のある1日の医療機関にかかった患者は、総人口の約6.5%(830万人)です。米国では正確なデータは無いのですが、日本よりも少ないと考えられます。6.5%が多いのか、少ないのか、議論は分かれると思いますが、インターネット・ユーザーや車のユーザーと比べるとはるかに少ない事は確かです。

**********

また、Google Healthは利用者が少ないから終了したと彼らは言っていますが、もう一つ、隠れた理由があるように思います。それは、どうやって収益を上げていくのか発見できなかったということではないでしょうか。

Google Healthができてから、10年前にヘルスポータルを作った旧友や、現在健康・医療サイトを運営している知り合いと、一体、Google Healthはどうやって収益を上げるのか、何度も議論してきたことを思い出します。誰も、納得のいく説明ができませんでした。

Googleは、上記の2つの理由を見逃して、医療情報と他の情報を同じように考えていたのではないでしょうか?多くの人々が利用する、未整理で多量なデータを検索できるように整理すれば、これまでGoogleがやってきたように広告で収益が上がってくるという幻想。このために、利用者が少ないと収益を産まないと、短絡的に考えてしまった・・・。真相は闇の中ですが。

私は、医療情報の活用で収益を産むのは広告モデルでは不可能だと思っています。医療情報をその人の属性(性別、住所、年齢等)の一部と考えて、その属性を最大限に活用する客単価の高いビジネスではないと成り立たないと思います。そして、具体的なアイディアは医療をよく知る人ではないと出てこないんじゃないかなぁ〜、と思っています。

ちなみに、MicrosoftにおけるXMLの父と呼ばれ、Google Healthを立ち上げ、そして今はKeasを立上げたAdam Bosworthは、Google Healthがうまくいかなかった理由を次のように述べています。

*********

Google Healthは『人びとがやりたいことは何か』を考えなかった。彼らはユーザに単純に『どこそこへデータを保存せよ』と言っただけだ。でも人は、データを保存することではなく、楽しいことを求めているのだ。

http://jp.techcrunch.com/archives/20110603keas-bosworth-game-healthy/

*********

そして、彼は、Keasを健康の維持増進のためのゲームにしました。

でも、健康をゲームにするより、もっと楽しいゲームがあるように思います・・・。




posted by lou at 18:10| Comment(2) | TrackBack(0) | エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月24日

ラッキーな人の特徴

lifehacker日本語版に下記の記事がありました。

**********

Wiseman氏は、自分を「ラッキーだ」と感じている人のグループと、「アンラッキーだ」と感じている人のグループにそれぞれ新聞を与え、この新聞の中に写真が何枚あるかを数えさせました。

すると、アンラッキーと感じているグループが平均2分かかったのに対し、ラッキーと感じている人はたった数秒で写真の枚数を答えました。

ラッキーな人々は、なぜ数秒間で写真の数がわかったのでしょうか? 

その理由は、新聞の2ページ目にある「数えるのをやめましょう、この新聞には43枚の写真があります」というメッセージを見つけたからです。

ではアンラッキーな人々は、なぜこれを見つけられなかったのでしょうか? 

それは、写真を数えることに集中しすぎて、見逃してしまったからです。

この実験結果が何を意味するか、Fields氏のブログ記事では、次のように述べられています。

アンラッキーな人は、チャンスを逃しやすい。なぜなら、あるものを探すのに集中しすぎているからだ。

たとえば、パーティに出かけると完璧なパートナーを見つけようとしすぎて、いい友達をつくる機会を逃してしまう。新聞の求人広告で仕事を見つけようとすると、望みの仕事を探そうとするあまり、ほかの良い仕事を見落としてしまう。

逆にラッキーな人は、より余裕があってオープンなので、自分が探しているもの以外のもの、そこにあるものをあまり見逃さない。

【全文はこちら】 http://www.lifehacker.jp/2011/04/110413luckypeople.html

**********

では、アンラッキーで余裕が無い人はどうすればいいのか・・・。

先日、テレビでインテルの長友が、アンラッキーで余裕が無い人へのアドバイスに最適なコメントしていました!

**********

だめな時は心に余裕がなかった。

心に余裕がある人を調べたら、周囲に感謝できる人だった。

周囲に感謝できるほど外を見る余裕があると言える。常に周囲に感謝できる人になるように努力している。
(@SOYAMAさんのtweet拝借)

**********

一時、スタメンを外された長友が、活躍している同僚(すなわち、世界最高峰のプレーヤー達)をベンチで観察して得た答えだけに説得力があります。その後、周囲に感謝できる人を目指すべく、心の強化に取り組んだ長友はスタメンに復帰して、大活躍でシーズンを終えました。

こういった心の鍛錬を忘れて、ノウハウやスキルを追い求める人々のなんと多いことか・・・。


posted by lou at 10:25| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月31日

医薬品卸の決算!いよいよ・・・

2011年3月期の決算で、スズケンは、医薬品卸売事業で営業損失43億9900万円を計上し、1995年の株式上場以来初の営業赤字に転落しました(連結では黒字)。スズケンだけでなく、今年度の医薬品卸(上位4社)の決算は、非常に厳しい結果でした。


医薬品卸決算(全体)_2011年3月期.jpg




 ⇒資料のダウンロードはこちら【医薬品卸決算(全体)_2011年3月期】







国際医薬品情報(5月23日号)では、「・・・メディセオは最終日2日前に取引全社で値引き約150億円を計上した模様。アルフレッサも約160億円入れたようだ・・・」という観測記事が掲載されていました。

このことが示すように、原因は、熾烈な価格競争にあるようです。

それにしても、大手4社の売上が、7兆6,600億円で、営業利益が僅か341億円(0.4%)とは・・・。株価の低迷もしょうがないところです。


また、私は今回の決算に関して、歴史的な意味を感じています。
下記の各卸のセグメント別営業利益を見てください。
医薬品卸決算(セグメント別)_2011年3月期.jpg



 ⇒資料のダウンロードはこちら【医薬品卸決算(セグメント別)_2011年3月期】



メディパルは薬粧卸事業(化粧品・日用品・一般用医薬品卸部門)、スズケンは保険薬局・医薬品製造事業部門、東邦は保険薬局事業部門が、本業の医薬品卸事業の営業利益を上回っています。

アルフレッサ以外は、本業以外の部門が稼ぎ出した営業利益が本業を上回っているのです。

今後、4大卸の生き残りをかけた競争は、多角化の成否にかかっているといっても過言ではないでしょう。

下記は、今回の決算に関する他の主な記事です!

続きを読む
posted by lou at 10:34| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月10日

「神ブランド」?

エリック・レポートの続々編です!

**********

前回、前々回の「痛いブランド」に続き、今度は「神ブランド」についてまとめてみました。

「神ブランド」とは、07年以降に発売された製品の中で、ピーク時販売売上が30億円以上と予測されている製品です。将来、エース製品候補と言ったところでしょうか。




神ブランド.jpg

【PDFはこちら】 「神ブランド」一覧

「痛いブランド」の穴埋めのために、「神ブランド」を持っていなくては、業績は下降線を辿る運命に・・・。

「痛いブランド」は、売上は下がってきていますが、販促コストや労力はほとんど必要ありません。しかし、エース製品に育成するためには、多くのコストや労力をかける必要があります。多くのコストや労力をかける決断が、エース製品を育てるといっても過言ではありません。

「神ブランド」の製品数だけで見ると、内資系企業27製品、外資系企業13製品と、内資系企業が有利に見えます。

しかし、「痛いブランド」が少ないのは外資系企業の方でしたので、「将来のエース」に充分な販促費を掛けられる外資系企業が「神ブランド」を育て、多くの「エース製品」を生み出す可能性が高いのでは?トップの決断力の差もありますし・・・。

**********

ところで、エリック、「神ブランド」の企業別ブランド数はどうなっていますか?

コメントに投稿しておいてください。



posted by lou at 00:00| Comment(3) | TrackBack(0) | エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月28日

「痛いブランド」?(外資編)

エリックより、「痛いブランド 外資編」が届きました。

エリック、燃えているね! 最近、ネクタイを外し、ビジネスカジュアルで通勤しているようですが、なにか心境に変化があったのかしらん・・・。

**********

前回に引き続き、企業内でのシェアが高くて、売上の減少が顕著なブランドは何か?を外資系企業で分析をしてみました。


「痛いブランド」ポートフォリオ_外資編.jpg


【PDFはこちら】「痛いブランド」ポートフォリオ

また、全体的に外資の「痛いブランド」数は少ない気がしています。「痛いブランド」の穴埋めをしなくてはならない割合は、外資系の方が少なくて済むという事です。

ちなみに今回の外資系企業の「痛いブランド」は下記の通りです。

  ●グルコバイ
  ●レニベース
  ●フルタイド
  ●パナルジン
  ●リポバス
  ●パラプラチン
  ●クラリシッド
  ●ノボリン
  ●ペグイントロン
  ●ニューロタン
  ●リスパダール
  ●タキソール
  
企業別の「痛いブランド」個数では、下記のようになります。

  ●万有製薬 : 3
  ●ブリストル : 2

**********


posted by lou at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月25日

「痛いブランド」?(内資編)

東日本大震災に遭遇し、ちょこっとだけ被災して、それを理由にブログをサボっている私になりかわり、プロモーション部門チーフ研究員のエリックから、ブログ投稿への依頼が来ました。偉い!

しかし、内容はちょっとシビアです。

**********

医薬品の市場について、私なりの切り口で分析をしてみました(例の事業計画の一部なのですが・・・)。

「売上ランキングTop100」や「前年対比の伸び率」などの資料はよく目にするのですが、今回は企業や業界のリストラクチャリングの参考資料になるようにまとめたものです。

第一弾は、内資系製薬企業の主な製品について。

「痛いブランド」ポートフォリオ.jpg

【PDFはこちら】「痛いブランド」ポートフォリオ

ここで注目は・・・

企業内でのシェアが高くて、売上の減少が顕著なブランドは何か?という点です。

赤い線で括った、レッドゾーンは、企業内シェアが5%以上の製品で、07年から09年の売上比率が90%未満となっているブランド。これが、要注意!

こういうブランドを多く持つ企業は、これから、その穴埋めをしなくては売上は低下していきます。すなわち、企業にとって「痛いブランド」ということです。

また、これらの「痛いブランド」は既に認知度が十分あるため、販促費をそれほどかける必要がありません。「痛いブランド」の穴埋めをする次世代のエース商品を育成するには、数倍以上の販促費をかける必要があります。穴埋めをするにも、収益性を圧迫してしまうという訳です。

また機会がありましたら、今度は外資系企業の製品についても分析してみたいと思います。

**********

その後、エリックから聞いた「痛いブランド」は下記の通りです。

  ●ベイスン ●ソリターT
  ●オムニパーク ●フルマリン
  ●キサンボン ●ブラダロン
  ●リザベン点眼液 ●セレクトール
  ●メロペン ●オノンドライシロップ
  ●バップフォー ●トレドミン
  ●クラビット ●カバサール
  ●ガスター ●フオイパン
  ●メバロチン ●モーラスパップ群 
  ●ユーゼル ●カンプト
  ●マーズレン ●ハイペン
  ●キネダック ●フロモックス
  ●ユーエフティ ●オノン
  ●注射用フサン ●アムロジン

企業別の「痛いブランド」個数では、下記のようになります。

  ●小野薬品:4
  ●キッセイ薬品:3
  ●大鵬薬品:3
  ●第一三共:3
  ●日本新薬:3
  ●塩野義製薬:2
  ●大日本住友:2



posted by lou at 09:27| Comment(1) | TrackBack(0) | エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月02日

スティーブ・ジョブスが泣いた日

アップルとシリコンバレーで学んだ賢者の起業術を立ち読みしていたら、第1章の始まりにスティーブ・ジョブスが起業初期を振り返った言葉が載っていました。

**********

我々はアタリ(当時、ビデオゲームのトップメーカー)へ出向いてこう言った。

「ねぇ、この驚くべき製品を見てください。おたくの部品も一部使っているんです。なんなら、投資しませんか?いや、差し上げてもいい。僕たちは、これをただ実現させたいだけですから。給料さえ払ってくれたら、やりますよ。」

彼らの返事は「No」だった。

そこで我々はヒューレッド・パッカードへ行った。すると彼らはこう言った。

「間に合ってるよ。まだ、大学も出ていないんだろ」

**********

速攻でこの本を取り、レジへ。

第2章では、オンラインで住宅購入を可能とするレッドフィン社CEOのグレン・ケルマンが、1984年、Macintoshの発表会でのスティーブ・ジョブスの様子を語っています。

YouTubeで検索してみました。



後半の部分で、Macと会話したジョブスが目に涙を浮かべています・・・。あのジョブスがですよ。今までの苦労をかみしめているように見えます。

あぁ、新しいことをやろうとすることは大変なんだ。

でもね・・・

**********

旅の目的は、少しでも早く目的地に到着することではありません。

ゆっくりと旅をするなかで、電車の窓から眺める風景、聞こえてくる音、そして居合わせた人との会話、その一つ一つの旅程を楽しむ、それこそが旅!

起業も、同じ。

**********

132億円集めたビジネスプランより。

今日は、本を読んでばかりで、1行も企画書が進まない日でした(内緒)。


posted by lou at 18:01| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする