2006年06月12日

顧客接点からのマーケティング活動(3)

●カテゴリーのドリルダウン

前回の「時系列のドリルダウン」では、売上を集計した表を月別に見ていきましたが、今回は、『販売名(ブランド)』を規格単位ごとに見てみましょう。前回も行いましたが、このように細かく分析していくことを『ドリルダウン』といいますが、今回は、販売名という『カテゴリーのドリルダウン』を行っていきましょう。

【スライド2】を開いてください!

スライド2

■ 『表3』をご覧ください。

ブランド別に見ると、3つのブランドは7,000万円ですが、より細かく『規格単位』ごとに見てみると、売上に差が出てきます。8つの規格単位ごとの売上の平均は、(7,000万円×3)÷8=2,625万円ですから、平均に達していないものは、黄色に塗りつぶした4つです。

もう少し、詳細に見ていきましょう!

■ 『表4』をご覧ください。

これは、表3を下記の手順で、まとめ直したものです。

1.8つの規格単位ごとに売上金額を集計し、金額の大きい順に並び替べる。

2.総売上金額に対する累積構成比(%)を算出する。

3.売上金額累積構成比を基に品目をA・B・Cの3つのクラスに区分する。
*0〜80%をAクラス、80〜90%をBクラス、90〜100%をCクラスとすることが一般的であるが、何%ごとに分けるかは分析するデータの特性に応じて変えても構わない。

このように、売上を3つのランクに分けてデータを分析することを『ABC分析』といいます。このような分析は、品質管理に良く用いられ、その際には、パレート分析とも呼ばれています。

■ 『犯人』探し

表4を見ると、売上下位のCランクに属する「ブロプレス錠 8mg」、「ブロプレス錠 2mg」、「ブロプレス錠 4mg」の3品目を合わせても、売上の10%に満たないことがはっきりします。

病院や調剤薬局の売上にしても、医薬品卸、製薬企業の売上にしても、このCランクに属するものが、売上低迷の『犯人』ということです。

このように、『カテゴリーのドリルダウン』は、売上低迷の犯人を探し出すときに役立ちます。もちろん、逆に売上好調の際には、最も貢献した『功労者』を探し出す時にも用いられます。

さて、この『犯人』を監獄に入れてしまうのか(扱いをやめてしまい、あまった労力でA、Bランクを伸ばす)、社会更正させる(Bランク入りを目指す)のか、これを決めるのがマーケティング活動の基本です。日本人の場合、社会更正を促すことが多いのですが、在庫や利益を考える場合、監獄入りが最も即効性があります。

2006年06月09日

顧客接点からのマーケティング活動(2)

●時系列のドリルダウン

売上を集計した表は、調剤薬局の店長・仕入担当者、医療機関の仕入担当者、製薬企業の営業担当者(MR)・マーケティング担当者にとっては、日々目にするものでしょう。最初に、この表をもとに、データの見方を学んでいきましょう。

【スライド1】を開いてください!


スライド1
■ 『表1』をご覧ください。

これは、ある薬局、診療所、病院、製薬企業のMRの四半期の薬剤の売上です。単位は、すべて万円。

オルメテック、ブロプレスは高血圧の薬、ベイスンは糖尿病の薬ですね。

これを見て、皆さんはどのように思いますか?

きれいに7,000万円で並んでいることに気づくでしょう。この3ヶ月間、3つの薬は同じように売れていたと思うのが普通です。

■ 次に、『表2』をご覧ください。

これは、表1を月別に見たものです。1〜3月の数字は全部で9個ありますが、このぐらいになると、ちょっと気合を入れて見ないと訳がわからなくなってしまいます。そこで、グラフにしてみましょう。

一般的にデータを日ごと、月ごと、年ごとのように、時の変化でどのように推移していくかを見るような場合(時系列)、グラフは折れ線グラフを使います。

■ 『グラフ1』をご覧ください。

ベイスン、ブロプレスは徐々に売上が上昇していますが、オルメテックは売上が下がっています。このままでいけば、ベイスン、ブロプレスは4月の売上が伸びるでしょうが、オルメテックは下がるのか、あがるのか見当がつきません。Excelのグラフ機能にある『線形近似』で折れ線を直線に置き換えてみると、右肩上がりになり、来月は売上が伸びそうですが、ちょっと心もとない気がします。

いずれにしても、表1ではわからなかった売上の変動を見ることができます。

この変動を見ることによって、次のことがわかります。

1.売上の予測

時系列に並べることによって、売上の予測が直感的に可能になります。また、移動平均法、ARIMAモデルなどで処理することによって、確度の高い予測も可能になります。

2.プロモーション効果やビジネス環境の影響

3月にブロプレスのプロモーション(広告、販売促進のインセンティブや褒賞、WebサイトやEメール、営業マンによるメッセージ伝達、PR等)が行われた結果だとか、2月まで続いたオルメテックのキャンペーンが終わったとか、副作用情報が出た影響であるとか、隣に新しい調剤薬局ができたとか・・・。売上に影響する事柄を時間軸(この場合横軸)に並べてみると、その効果・影響を推測することができます。

プラスの効果とマイナスの効果、両方ありますので、見落とさないでください!

そして、これらの販売に影響を与える要因についての情報をコーザル・データと呼んでいます。

■ 『グラフ2』をご覧ください。これは、Excelのグラフ機能にある『100%積み上げ縦棒』という種類のグラフです。

売上が上昇しているベイスン、ブロプレスのうち、全体に占める売上比率(金額シェア)はブロプレスは伸びていますが、ベイスンは、2月に一度落ち込み、3月に少し回復しました。もし、オルメテックより、ブロプレスの方が、利益率が高い場合、店舗・医療機関の利益はこの四半期は向上したことになります。

逆の場合は、何らかの方策を打たなくてはなりません。

いずれにしても、この売上比率の月別変動を見ることによって、利益の構造(何で儲かっているのか)および、利益変動の予測(この調子で儲かっていくのか、そうでないのか)が、わかります。

■ あるデータベース(今回はそれほど大げさではなく、表ですが・・・)を、錐で、深く、深く、穴を開けていくように細かく分析していくことを『ドリルダウン』といいますが、今回はそのドリルダウンを時間に関して行ってみました。時系列のドリルダウンです。

データを分析する時の常套手段として、覚えておきましょう!また、それらをどのように活用するかも、説

明しました。それは、調剤薬局の店長・仕入担当者、医療機関の仕入担当者、製薬企業の営業担当者(MR)、すなわち、比較的狭い範囲でのデータを活用し、明日の定常業務に活かす方法です。

2006年06月07日

顧客接点からのマーケティング活動(1)

医療機関、調剤薬局、製薬企業等のマーケティングの必要性が指摘されていますが、実際にはなかなか定着していない気がします。

医療には公共性が求められ、扱うサービスや商品は人間の生命に直結するだけに、経済的な競争はそぐわない部分もあります。また、サービスや商品の対価が、公定価格であるという制約もあります。マーケティングの4Pの一つ、Pricingが欠落しているわけです。

しかし、ほとんどの製薬企業と調剤薬局は株式会社ですし、病院においても収益を上げていかなければ、自分たちが理想とする医療サービスの提供は、限られてしまいます。患者満足度の向上を目的としたマーケティング戦略を考えることもできるでしょう。

いづれにしても、医療にもマーケティングは重要です。では、なぜ、定着しないのでしょうか?

いろいろ原因があるでしょうが・・・

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