2014年01月06日

製薬会社の特殊な営業活動

年末の大掃除を終えて、初詣、お年玉、初売りとつつがなく行事をこなし、ちょっとやることが無くなってしまったので、ヤバい経営学―世界のビジネスで行われている不都合な真実
という本をKindleストアからダウンロードしました。大型の本屋まで5kmほど離れている茨城県某所で年末年始を過ごしているので、便利になったなぁ〜と実感!

さて、著者のフリーク ヴァーミューレンの小気味よい、その実、膨大な研究成果に裏打ちされた文章は、すんなりと私の頭に入っていったのですが・・・。いきなり第一章に、なんと製薬企業の事例が紹介されています。

下記は、米国の製薬企業のことを書いたくだりですが、これって、我が国にもそっくり当てはまるのではと、年初から、深く考えさせられました。

フリーク ヴァーミューレンは、過激に、MRの存在自体を疑問視していて、腹のくくり方が違うなという印象です。

多少省略していますが下記に引用しましたので、ガツンと刺激を求める当ブログの読者の皆さんは、読んでみてください!

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製薬会社が何に一番お金を使っているか、知っているだろうか。「新薬を開発するための研究開発費に決まっている」と思うかもしれない。しかし、それは本当だろうか。

ある調査によれば、平均的な研究開発費用は売上の14%ほどだ。しかし、一番お金がかかっているのが研究開発費かといえば、答えはNoだ。実は、製薬会社の中で一番の金食い虫は、マーケティングだ。製薬会社は研究開発費の2倍から3倍の額をマーケティングに使っている。

そして、マーケティング費用のうちで最も大きな支出は、営業活動、いわゆるMR活動にかかる費用だ。

MR活動とは、製薬会社のMR(医薬情報担当者)が、医者のところに何度も無料サンプルを持って訪問し、ときには医者をいろいろと接待しながら病院で自社の薬を処方してくれるようお願い(営業)することである。

どうしてこんな活動が存在しているのかというと、世の中の薬の数がものすごく多いからだ。医者は、ほんの一部の薬しか覚えていられない。覚えていてくれなければ、処方されることもないので、MRの人たちは必死に営業をする。医者になんとしても自分たちの薬を覚えてもらうために、MRはありとあらゆる方法を使うのだ。

しかし、このMR活動は本当に効果的なのだろうか。

ある調査結果によれば、一つの新薬を使ってもらうまでに、MRは平均3回も医者を訪問している。そして、その新薬が採用されるまでに、26回分の無料サンプルを配っている。これを聞いてどう思うだろうか。お世辞にもうまく機能している、とは普通は言わないだろう。なぜ、製薬会社はこんなMR活動を続けているのだろう。

まず、MR活動が本当は意味がない、という明らかな根拠は見つかっていない。残念ながらどんな研究(ほとんどは製薬会社の内部調査だが)でもだ。つまり、MR活動が時代遅れのやり方だなんて、製薬会社は100%信じることができない。彼らはMR活動を止めることで、売上を減らしてしまうのが怖い。そして、普通は、製薬会社はそんなリスクを取りたくないのだ。

金食い虫のMR活動を続けていたら、会社の利益が損なわれるじゃないか、と思う人もいるだろう。おそらくその意見は正しい。しかし、ノーベル賞受賞者のダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)とエイモス・トヴェルスキー(Amos Tversky)が言っているプロスペクト理論(prospect theory)を知っているだろうか。それによれば、自分だけが小さな損をするよりも、他の人と同じ失敗をして大きな損をする方が、ずっとましだと私たちは感じるのだ。

たとえば、ある会社がMR活動を中止したとしよう。そして、仮にそれが失敗に終わって、マーケットシェアと利益を失ってしまったとする。そしたら、きっと誰もが「お前はバカか。誰もそんなことをしたことがなかったじゃないか」と言うだろう。

逆に、MR活動のせいで、どんどん会社の赤字が増えてしまったらどうだろう。みんなも同じことをしているし、MR活動が悪いなんて誰も思っていない。その会社がバカだとは誰も言わないだろう。

つまり、現状を維持するよりも、古い慣習を壊すほうがずっとリスクが高いのだ。

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2013年07月31日

ブランド内スイッチの重要性

ビッグデータを分析していると、思わぬことを発見することがあります。

実は、それは営業の王道だったりするわけです。

今回取り上げるのは、『ブランド内スイッチ』。

通常、電子マネーnanacoやWAON等の購入履歴データ、すなわち『ID付きPOSデータ』の分析では、ブランドスイッチのブランド毎の比率を分析して、競合状況の正確な把握をします。そして、そのデータを見ながら、ブランドへの流出率が高まってきた場合、早急に対策を打つわけです。

意外なブランドへの流出が高まってきた場合、そのブランドは何らかのプロモーションをしている可能性があります。また、想定していた競合品以外からの流入があった場合、マーケティング戦略を変更した方が効率が高くなる場合があります。

今回取り上げるのは、薬剤X。

ちなみに、薬剤Xには、3mg、5mg、10mgと細別のラインアップが揃っています。

医薬品には珍しく、同薬効の新薬と後発品(ジェネリック医薬品)が僅か1年間で出現し市場が激変した薬剤です。

下図をご覧ください。

スライド1.PNG


▲図をクリックすると大きくなります。


新製品が2製品参入してきても、びくともしなかった薬剤Xの売上が、後発品の参入があった2012年1月以降、激減してしまいました。

さっそく、この薬剤Xの5mg(最も売れている中用量)の他のブランドへの流出を見てみたのですが、その結果は下図の通りです。

スライド2.PNG


▲図をクリックすると大きくなります。


さすがに2011年11月・12月は、後発品への流出が-3.86%と跳ね上がりました。流出が2ヶ月で-3.86%は、調剤回数が1年で-17.9%、2年で-35.1%にもなってしまいます。

しかし、同時期に薬剤Xの他の細別への流出も増えています(-1.55%)。同じブランド内への流出ですから、『ファミリーへの流出』と私は呼んでいます。

その後、2012年1月・2月は、後発品への流出が-2.27%と減少しました。しかし、ファミリーへの流出も-0.66%と減っています。

そしてその後、再び後発品への流出が-3.07%と増加してしまいました。

ファミリーへの流出はより高用量の自ブランドへのスイッチですから、ブランド力を上げる良いスイッチともいうべきですが、後発品への流出の対応でファミリーへの流出がストップしてしまい、結果的に更なる後発品への流出を招いてしまったと推測できます。

目先の後発品対策に終始してしまい、本来のブランド力を高める努力を忘れてしまった結果かもしれません。

このような分析まではできなくても、MRとしては、ドクターや応需先の調剤薬局からの情報を元に、後発品の勢いは3か月目に衰えたということを把握していれば、余裕を持って、本来のファミリーへの流出(育薬)に注力することができたのではないでしょうか。後発品対策は、MRの仕事の本筋ではありません。悔やまれてなりません。

いずれにしても、競合品の参入時のスイッチ分析では、競合品への流出だけでなく、ファミリーへの流出も加味した分析が必要だと思わせる例でした。



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2012年01月31日

ソーシャルエンタープライズ

消費者が、製品やサービスに関して、ソーシャルメディアを通じて意見、使用感、苦情を発信する時代になってきました。コンシューマー向けのビジネスを展開している企業は、もはやこの情報発信を無視できない状況です。

医療に関しても、患者が、医療機関、医薬品の評判や感想を投稿しはじめています。

毎朝、Twitterで医薬品ブランド名を検索して、どのような話題が世間で語られているのかチェックしているプロマネも多いのでは?

また、クチコミで病院検索を行っている患者向けの専用サイトQLifeも存在します。

このような環境変化をとらえ、ソーシャルメディアで語られているコンシューマーが発信している情報を漏れなくとらえ、ビジネスに利用していくソリューションを提供する企業も現れています。

マーク・ベニオフCEOのSalesforce.com等は、その急先鋒ではないでしょうか?



以前は、DTC(Direct To Consumer)として語られていた分野が広がり、企業側から一方的に流されていた情報が、双方向のものに変質していくのではないでしょうか?

DTCプロモーションは、マーケティング部門だけで対応していればよかったのでしょうが、ソーシャルメディアで語られる患者の声は、有効性や飲みやすさ、パッケージのデザイン、薬剤師の説明の方法等、製薬企業の様々な部門が総出で対応しなくてはならない課題を突き付けてくることでしょう。

製薬企業は、他の業界に比べて緻密さが要求されますので、どうしても縦割り組織になってしまいますが、ソーシャルエンタープライズになるためには、上記の課題に対応できる横断的な組織が必要となってきます。IT企業は、ここを理解していないんだよなぁ〜。クチコミ分析のツールを導入しただけでは、対応はできません。

そのような組織を新たに創出できるか、否か・・・。

しかし、ソーシャルメディアを活用した新たな挑戦をした企業が、ブロックバスター特許切れ問題を乗り越える企業に変身していく事でしょう。

トヨタがやっているトヨタフレンド、『クルマがつぶやく』というコンセプト、医薬品でもやる所出てこないかなぁ〜。『薬がつぶやく』・・・。




2011年10月07日

Jobsをしのび、Jobsから学ぶ

Steve-Jobs2.jpg

10月6日のZDNet Japanに大河原克行氏が、Jobsの功績として『パソコンの流通改革』を挙げています。

http://japan.zdnet.com/cio/sp_stevejobs/35008690/1/

1998年8月に発売したiMacから行われた大胆な流通改革は、手詰まりになっている医薬品卸業界にも大いに役立つと私は思っています。

その概要は・・・

●大手コンピュータ販売店(チェーン店)との取引を、米国ではCompUSAの1社に絞り込んだ。

●全米に8,000店舗あったVAR(付加価値販売店)を3,300店舗に絞り込んだ。

その際の契約継続条件は、
  −今後も一定水準の売上高成長率を維持すること。
  −ソリューションを中心とした販売・保守体制を有していること。
  −Appleへの貢献を明確に示せること。
  −需要の高い都市圏に立地していること。

●販売店への卸価格は大幅に値上げした(その結果、販売店は利益確保のために定価で販売せざるを得なくなった)。

つまり、成長率が低く、努力をしていない販売店は切り販売を継続する販売店では定価販売を定着させ、地方都市ではiMacを売るための販売店は置かず、代わりにネット直販でこれをカバーするというものです。

日本でも当時、Macの取り扱い店が本当に少なくなり、値引き無しのオンラインストアでしか買えなくなったため、Macの終わりを予想した人は多かったのではないでしょうか。

しかし、強引ともいえる上記の手法は、その後のiPodやiPhoneの流通戦略にも生かされており、流通主導の仕組みが世界的に定着するなかで、唯一メーカー主導で動くビジネスモデルとなっています。

現在の医薬品流通の現状は、ちょうど、Jobsがこのような大改革に取り組む直前に酷似しています。

医療機関・調剤薬局の質は、パソコンの販売店と比べること自体が愚かなほど、高いレベルで平均化しています。

しかし、仕入価格を下回る卸価格が横行し、医薬品卸は、後でメーカーからのインセンティブで利益確保する時代が長続きするとは思えません。医薬品メーカーにも、Appleのようなところが現れないでしょうか。Jobsだったら、仕入価格を上げ、インセンティブを無くすでしょう。

同時に、売上が伸び続けて、医療機関・調剤薬局の要望にきちっと応えられ、地方(売上の少ない地域)でのデリバリーは低コストで行う仕組みのある医薬品卸を選定して、他は切り捨てるかもしれません。

実際に、一部のオーファンドラッグ(患者数が少ない病気の治療薬)では、医薬品卸を1社に絞ってデリバリーを行っているメーカーもあります。

http://ir.tohohd.co.jp/ja/IRFiling/IRFilingDataDownPar/00/IRFilingDownPar/010/PDFile/100521.pdf
⇒26ページ

オーファンドラッグは、一種の独占販売のようなものですから、こういったことができるのですが・・・。しかし、オーファンドラッグ並みのユニークで強力な効果を持った新薬なら、同様な事ができるのではないでしょうか?iPhoneの様に・・・。



2011年01月11日

ヘルスケア2.0企業の製薬企業向けのサービス

昨年の末から、医療従事者や患者のSNS、CGMを運営しているスタートアップ企業が、製薬企業向けのサービスを始めています。

日経産業新聞の2010年11月29日号の記事によれば、下記の企業が、製薬企業向けのサービスを開始するとのこと。

MedPeerのような医師向けサービスでは、米国のサーモ(sermo)が先行して製薬企業へのサービスを始めていますが、患者向けのサービスでは、Google HealthやHealthVaultが、今イチ、ビジネスモデルを確立していない状況なので、面白い試みだと思います。

http://blogs.dion.ne.jp/lou/archives/6327751.html

患者向けのサービスは、現実的は製薬企業にスポンサーになってもらうというのが、オトシドコロなのでしょうか・・・。他のビジネスモデルもあると思うのですが・・・。

いずれにしても、新たな情報ソースからのデータを使うことによって、新たなマーケティング戦略が生まれることでしょう。期待します。

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MedPeer(メドピア):医師SNS
https://medpeer.jp/index.html

【運営会社】 メドピア株式会社
【会社概要】 http://medpeer.co.jp/company/outline.html

医師に治療に使った医薬品を評価してもらい、データをまとめて製薬会社に販売するサービスを開始。症例情報の交換や学会情報の提供などを通じて約3万人の医師を組織化しており、治療の最前線の生の声を提供する仕組みを確立した。

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TOBYO闘病患者サイトライブラリー+専門検索
http://www.tobyo.jp/

【運営会社】 株式会社イニシアティブ
【会社概要】 http://www.tobyo.jp/info/0-2.php

2010年12月より、製薬会社向けに薬品、医療機関、治療、医療機器などごとに闘病情報を一覧できるサービスを開始。価格帯や効き目など薬の服用後や処方の現場で患者が感じる生の声を集約し、マーケティング情報として販売する計画。製薬会社が知るのが難しい治療薬の変更理由などが簡単に検証できる。

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LifePalette(ライフパレット):患者SNS
http://lifepalette.jp/

【運営会社】 株式会社メディエイド
【会社概要】 http://lifepalette.jp/footer_contents/company

2011年より、患者数5万人未満の希少疾患患者向けサイトを開設し、闘病記の執筆、相互閲覧による情報交換に加え、患者やその家族にしか分からないような商品ニーズの収集などのサービスを始める。

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サードプレース看護師専用SNS
http://www.aline.jp/3rdplace/

【運営会社】 A-LINE株式会社
【会社概要】 http://www.aline.jp/contents/information/index.html

2010年12月から約50万人が登録する看護師データベースを活用し、短時間勤務できる看護師の採用を仲介する事業に乗り出す。試験結果の記録人員に医療の専門知識が求められるCROなどからの需要を見込んでいる。

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2010年11月15日

調剤の支払いにポイント付加!

Doshin Web(北海道新聞のホームページ)に、11月5日、次のような記事が載っていました。

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ドラッグストア大手のツルハは11月から、医師の処方せんに従い医療用医薬品を販売する調剤の支払いでも自社カードにポイントを付けるサービスを始めた。

ポイント付与は従来、調剤で禁止されている値引きに当たる可能性があったが、厚生労働省が10月上旬にポイント付与を認める判断を下したことに伴う措置で、「道内では初」(同社)とみられる。

ツルハ11件は現在、全国で921店(うち道内299店)のドラッグストアを運営。このうち調剤薬局を併設する全店(全国208店、うち道内55店)で、調剤支払い100円につき1円分のポイントを付ける。

ポイントは次回以降の買い物で使えるが、値引きに当たるため調剤の支払いには使用できない

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/economic/258604.html

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ツルハ



このニュースに関しては、11月2日にDIAMOND onlineのドラッグストアニュースPick-Upにも取り上げられていました。

その記事は、今後の調剤薬局、ドラッグストア、調剤薬局とアライアンスを組む一般の小売業の競争ルールを変える可能性がある、と突っ込んだものになっています。

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すでに自社あるいは提携ポイントカードなどを発行し、物販と調剤を併設した店舗を多く抱えているところは、調剤薬局での処方せん獲得の大きな促進手段として活用でき、物販部門では処方せん金額に応じたポイント付与によって集客・販売促進につながることになる。

ショッピングセンターなどで展開する調剤薬局についてもポイントカードさえ共通で使用できれば、同じ効果が見込めることになる。

企業再編の点からみれば、小売業にとっては調剤薬局と組む理由がさらに明確になったと言える。

処方せんを薬局に持ち込む生活者の行動心理が、接客対応やスムーズな薬の受け渡しなどの点から、ポイント獲得と商品購入での利用という経済観念へと移る可能性が非常に高いからだ。急な発熱などで診療を受けた後、調剤薬局で一時も早く薬を受け取り帰宅したい急性疾患患者などの場合は別として、慢性疾患患者などを中心にポイント付与が大きな行動変化を起こすことは間違いない。

実は今回確認された内容は、調剤薬局の新たな再編の火種となる。また面分業を促す大きな材料ともなり得る。立地上の利便性が大きく左右してきた門前薬局から、処方せんが生活者の購買拠点に移動する明確な根拠ができたことになるのだ。

http://diamond.jp/articles/-/9942

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また、薬局・薬剤師のためのコンサルティングを行っている「やっけい」さんのブログでは、スギ薬局でもツルハと同様なことを開始していると指摘して、業界再編のきっかけになるとの予見を披露しています。

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ローソンで調剤ポイント利用というのも、新たなポイント合戦につながる可能性は高いですね。

小規模調剤チェーンも、コンビニやGMSなどのポイントカード目当ての提携というのもありかもしれません。また、調剤報酬の点数を1点10円ではなく9円台にするという話もありましたから、これに代わってポイント付与する形式で新たなビジネスモデル構築をして、破綻しかかっている健康保険組合との提携ということもあり得ます。

http://tiger8934.blog10.fc2.com/blog-entry-80.html

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もともと、薬剤師会や行政が勧めている『かかりつけ薬局』、それ自体は素晴らしいことなのですが、推進するための方策が今まではあまりありませんでした。くすりの飲み方の説明や、過去に飲んでいたくすりの注意点など、一生懸命に説明してくれる薬局もあるのですが、やはりそれだけだと、次回もそこの薬局に行くかどうか…。Tポイントカードを持つようになってから、ファミマを探してしまう私には、今回の「調剤の支払いでもカードにポイントを付ける」事の方が、よりインセンティブが働くようです。

じわじわと業界の競争も変わっていくような気もします。

生活習慣病で、長期間、定期的に調剤薬局を訪れる年配の方々は、ポイントで孫にコンサートのチケットをプレゼントできるとなると、強いインセンティブが働くでしょう。ジェネリック医薬品より、ポイントがたまるブランド薬(長期収載品)を選択したりして・・・。



2010年11月09日

みんなのマーケティング

新たなプロジェクトを立ち上げるために、人員の補強を行ったり、オフィスの移転をしたりとバタバタしているうちに、1ヶ月があっという間に経ってしまいました。

その間、なぜかTwitterだけは小まめにやっていて、そういうところがTwitterが流行る理由だと実感している次第です。三分の一程度は、iPhoneからのもので、外出先や帰りの電車の中から、気軽に投稿できるというのがいいですね。

(主な医薬品マーケティング関連の私のTweetは、この記事の「続きを読む」をクリックしてみてください。また、興味のある方は"lou66jp"をフォローしてください。)

さて、改めて自分のTweetを見てみると、着々と製薬業界や医療の変化に対応すべく手を打っている製薬企業と、そうではないところがはっきりと分れてきたと感じました。

特に変化に対応する手を打っていなくても、医薬品市場全体が伸びていますので、過去の資産で、そこそこの売上は確保できます。

でも、同時に何か手を打たない限り、3年後、5年後には大きな痛手を被ることは明らかです。

手が打てないのは、様々な原因があるでしょう。

経営上の問題点、決断できないでいるリーダー、現場を一番知っている担当者からのボトムアップが機能していない組織、過去の成功体験で判断する上司、厳しい状況をわかっていながら、なんとかなるだろうと人任せにしてしまっている部下・・・。

そしてそんな悪い環境の中でのマーケティング戦略の遂行。

マーケティング教科書に書かれている通りには出来ないのが、普通なのでは?

それでも、巷にはドラッガーやコトラーの解説本が所狭しと並んでいます。教養を深めるため、大局感を得るためには役に立つでしょうが、明日の戦いをどのようにするかという切羽詰まった時には、あまり役に立たないでしょう。

Twitterに代表されるCGM(Consumer Generated Media:コンシューマー・ジェネレイテッド・メディア)を活用した、マーケティングや営業の最前線からの意見を集約して、新たな使えるマーケティング手法、理論体系を考えてみたい!

Socialnomics
題して、『みんなのマーケティング(Socialnomics:「みんなの経済学」のパクリですが・・・)』

新たに立ち上げたプロジェクトのゴールも、『みんなのマーケティング』だーっ、と気付きました。こうご期待!

続きを読む

2010年09月16日

検索語トレンドの利用方法

Googleは、特定の検索キーワードでの検索数がインフルエンザの流行の指標となることを発見し、『インフル トレンド』として公開しています。

アメリカ合衆国でのインフルエンザ流行の推移と『インフル トレンド』の予測があまりにぴったりなので、背筋が寒くなるほどです。

http://www.google.org/flutrends/about/how.html

また、この結果は、『Nature』にも取り上げられたので知っている人も多いと思います。

Googleでは、この他にも、検索語のトレンド・データを公開しています(無料)。Google Insights for Search と呼ばれるもので、検索クエリ、地域、期間、Google の検索サービス、カテゴリを指定して検索ボリュームの動向を比較できます。

Google Insights Search

今回は、これを元に各社のDTC広告・プロモーションの影響を見てみます。

【図表すべて】

先ずは、エーザイ。ホームページには、下記のような記載があります。

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エーザイは、『逆流性食道炎』に対し、TV広告、WEBサイト開設、無料小冊子配布、院内ポスターや患者様指導箋などを作成し情報を提供してまいりました。(2009年6月〜2010年2月 ※地域によっては2008年より実施)

http://www.pariet.jp/alimentary/dtc.html

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そこで、2008年〜2010年の『逆流性食道炎』という検索語が何回Googleで検索されているかをGoogle Insights Searchで見てみましょう。
逆流性食道炎の検索トレンド

Googleは、検索回数は明らかにしていませんが、指数(Google で検索された総検索ボリュームに対する、特定の検索クエリの検索ボリュームを%で表したもの)がグラフとなって表示されます。図1は、

●ウェブ検索 ●日本全体 ●2004年〜現在 ●すべてのカテゴリー

を条件として入れて、「逆流性食道炎」の検索トレンドを時系列で表したものです。

どうでしょうか、エーザイのプロモーション開始時期(2009年6月)から、検索トレンドは上昇していると思いませんか?平均で2008年が27.9、2009年が35.8、2010年が51.8です(CSV形式でダウンロードもできます)。それぞれ、前年に対して28%増、45%増です。

これらから、少なくとも関心の高さを向上させることには成功しているようです。パリエットの売上が、2009年は対前年比28%増、2010年は対前年比45%増の近似値になれば面白いのですが・・・。エーザイの方、こっそりと教えてください!

また、図2、図3は、それぞれの年の県別の人気度(検索数の相対指数)の上位を見たものです。
逆流性食道炎の検索トレンド(地域別)


逆流性食道炎の検索トレンド(地域別地図)

先ほどのエーザイのホームページには、「地域によっては2008年より実施」とあります。2008年は、北海道と福岡が検索数の相対指数が高いので、北海道と福岡で先行したプロモーションを行っていた可能性があります。真実は、どうなんでしょうか?




同様に、下記の条件で『足ムズムズ』という検索語でも試してみました。

●ウェブ検索 ●日本全体 ●2004年〜現在 ●すべてのカテゴリー

「ムズムズ足症候群」や「ムズムズ足」、「ムズムズ病」よりも、『足ムズムズ』の方が検索数が多いのでこの検索語を選定しました。図4を見てください。
足ムズムズの検索トレンド

2007年ごろから、検索数が増え、2008年6月、7月にはピークに達しています。その後は、急激に減少して、ある程度の所で落ち着いてきているようです。

これは、アステラスが治験を始めた時期と重なるので、その影響かもしれません。

また、2010年1月ビ・シフロールが日本ではじめてレストレスレッグス症候群(RSL:むずむず脚症候群)の追加適応を取得し、発売されました。

2010年2月22日の薬事日報に、ビ・シフロールの販売元である日本ベーリンガーインゲルハイムの記事が載っています。

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中枢神経系(CNS)専門MR約100人を投入し、睡眠専門医と神経内科専門医をターゲットに、「ビ・シフロール」の情報提供を進める。

http://www.yakuji.co.jp/entry18181.html

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2010年1月前後の検索数は落ち込んでいます。また、100%東京での検索です。その他の地方は、ほとんど検索されていません。

せっかく、MRを投入するのですから、潜在患者の掘り起こしも、同時に進める方が効果が高いのでは。

【図表すべて】

これらは、一つの例ですが、いろいろと試してみてください。面白いですよ!

2010年06月08日

企業の視点と顧客の視点が交差するMR活動のマネージメント

先週の金曜日に開催されたセミナーで、主催者から参加者のコメントが送られてきました。

講演資料

それに対しての私の回答です。まだ、物足りない方は、コメントをお願いします。

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市場変化についてはわかり易かった。ただ、そこから導き出されるMR像は5年前から変わってなく、「何故変わらないのか」はわからなかった。

⇒いろいろと原因はあると思いますが、MRの評価の方法が変わっていないからではないでしょうか。売上の対前年比が、評価のウエイトの大半を占めるのであれば、売上以外に関心はいかないのでは?

また、なぜ、MRの評価法が変わらないのかといえば、そんな事をしなくても会社は安泰だったからです。今まで日本の医薬品市場は、そこそこのことをやっていればつぶれることはなかったのです。しかし、これからは、この状況は変化してくるでしょう。

事実、大日本住友は、新社長になってから、事業部制にしてMRの利益管理を徹底させようとしています。これは、新しい動きだと思います。

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営業効率、システム化、今後のメーカー等を深く説明していただきたかった。

⇒これに関しては、講演資料、ブログの他の記事や、北原さんと一緒に書いた『製薬業界7人の武将が語る市場の行方』をご覧ください。

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MRの計画達成の為の面談方法について、非常に役立つ。各MRのプロセス状況で面接方法を変更。
 (1)製品説明
 (2)仮採用(試験的採用)
 (3)本採用(本格的採用)
等の進捗状況で達成見込等面接できる。


Dr側のニーズとMR活動のギャップが理解できた。

⇒これら感想は、私が伝えたかったことが理解されていて、とてもうれしい!

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体外診をメインに取り扱っているため、最初からそれをわかって参加している。医薬品の市場動向は参考になった。

⇒抗体医薬の場合、診断薬と組合わせた『個別化医療』という強力なビジネスモデルがありますね。コンサルタントの井上良一氏から、次の書籍を勧められたことがあります。参考になるのでは? 私は…、読んでいません・・・。

The Innovator's Prescription :A Distruptive Solution for Health Care
」(2008、McGrawHill)

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内容は期待のものだったが、そこで今後の対策としてIT活用、必要な情報をどうMRにうまく活用、収集させるかを知りたかった。

⇒これは、企業、分野によって異なりますので、主催者にご相談ください。宣伝になってしまいますが・・・。

私は、情報提供はすべてIT化してしまってもいいのではないかと思っています。

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2010年05月24日

MRの古い武器

週末、娘と一緒にクリスピー・クリーム・ドーナツを食べに行ってきました!

日本進出からしばらく経っているので、空いているかと思ったら、長蛇の列が店外まで続いています。おりしも、雨。二人づつ並んでくださいと店員が叫んでいますが、行列は一人になったりして、列が長くなり、店外で待つことなり、傘をささないと濡れてしまいます。

他の店に入ろうと娘を促したのですが、ちょうどその時、店員がその店で最も人気があるオリジナル・グレーズド(160円)をタダで配り始めました

その途端、列は二人づつになり、短くなって、すぐに店内に入ることができました。

ああ、これは『返報性』だな、と思いつつ、私も配られたドーナツにかぶりつきながら素直に並んだのでした、1個まるごとですからね。

資料【MRの古い武器】は、コチラ!

返報性とは、営業や勧誘で他者の行動をコントロールする心理的テクニックをまとめたロバート・チャルディーニの『影響力の武器』に出てくる言葉で、相手の好意や親切に対して、自分も好意的な反応(返礼)を返さなければならないと思う人間の傾向(行動性向)の一つです。

MRもまだまだロバート・チャルディーニの言うところの行動性向を利用した営業をやっているのでは?

それが証拠に、「医療関係者にとって好ましいMRは?」という質問の答えが、医師とMR本人とではズレがあるからです。

MRが思っている好ましいMRは、「信頼がおける」、「相手の気持ちが理解できる」、「誠実である」の順になっていますが、医師は「自社医薬品の知識が豊富である」がトップ、病院薬剤師はトップこそ「信頼がおける」ですが、2位、3位は「自社医薬品の知識が豊富である」、「競合品についても知識がある」となっています。

医師や病院薬剤師は、MRに知識を求めています。

来月6月4日のセミナーは、このことについて話そう!と思った次第です。ふーっ、ネタが見つかってよかった。

セミナーの資料は、こちら!

2010年04月19日

医薬品マーケティングにおけるWebプロモーション

多くの製薬企業は、医師や薬剤師向けのWebサイトを構築して情報提供を行っています。また、患者向けの啓発サイトも100以上存在しています。

しかし、数年前と異なり、Webサイトの爆発的な増加により、せっかく作ったWebサイトもプロモーションをしないと埋もれてしまいます

また、2009年(1-12月)のネット広告の日本市場は、主要7社で2.3%増加の1,934億円ですが、シェア1位のヤフーは4.3%減の1,377億円です。しかし、ヤフーの単純なバナー広告は落ち込んでいるものの、ページビュー保証型の『ブランドパネル(トップページでの広告)』や広告新メニュー、行動ターゲティング広告の『インタレストマッチ』、リスティング広告の『スポンサードサーチ』などは増加しています。

クライアントは、不況下で、対投資効果(ROI)を求めているのだと思います。

昨年5月にメディカル総合の大場さんの協力を得て、医薬品マーケティングにおけるWebプロモーションに関して、Webサイトの設計やネット広告の基礎を勉強する機会があったのですが、その当時予想していたネット広告の変化がものすごいスピードで進んでいることに当の本人も驚いている次第です。

そのときに使ったテキスト、このブログのサイドバー『若杉徹の主な著作』からダウンロードできるようにしておきますので、いろいろな方々からの意見をお待ちしています。

*左サイドの『若杉徹の主な著作』の一番下です。

2010年04月05日

ユニクロのTwitter

おしゃれ!

ためしに、私のTwitter ID、lou66jpを入れてみてください。

http://www.uniqlo.com/utweet/

2009年12月01日

調剤薬局のマーケティング

財務省が11月19日に公表した『医療予算の査定方針』の続きです。製薬業界に関するところを抜粋してみると・・・。

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●先発品と後発品では成分が同じでも数倍の価格差がある。後発品のある先発品(長期収載品)の薬価が後発品の水準まで下がれば、先発品のメリットがなくなり、後発品の普及や、ひいては新薬開発への資源の集中につながる。同時に、医療費を0.8兆円以上節約でき、その分国民負担の軽減になる。

●大手8社合計で5兆円の売り上げ、1兆円弱の利益。国内で医療用の薬を扱う製薬会社は400以上あるが、そのうち新薬を開発しているのは一部。一方で世界で売上高トップ20に入るのは2社のみ。製薬業界の競争力・体質強化が必要。

●日本のMRは、諸外国に比べて、多過ぎる。

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財務省は、新薬開発の活性化にはある程度の理解は示しながらも、長期収載品に関してはジェネリック医薬品へのシフトを促進させるべきとの考えのようです。

調剤薬局のマーケティングを研究しているモーリスは、下記の記事と併せて、調剤薬局のマーケティングを活性化させていかないと新薬の無い中堅以下のメーカーは大変なことになると、危機感を募らせています。

【長期収載品、ジェネリック医薬品並みの薬価に?】
http://blogs.dion.ne.jp/lou/archives/8977453.html

調剤薬局のマーケティングを強化する目的は、次の3点が考えられますが、本格的に検討すべき時が来ているようです。

1.ジェネリック医薬品対策

2.服薬アドヒアランス(Adherence)の向上

3.潜在患者の発掘


まずは、モーリスのやった薬剤師のジェネリック医薬品に関するグループインタビューを一読することをおすすめします。

問合せは、こちら!mail to

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2009年09月11日

新たなマーケティング手法の胎動

昨日は、製薬企業の方々が自主的に新しい医薬品マーケティングを研究する勉強会に参加させていただきました。

22社から総勢約60名。すべて、自主運営で、幹事の方々の対応はすばらしいものでした。

本来、競合関係にある企業同士が集まって勉強会をするというのは、成り立つのかなぁ?と思いながら、1時間ほどお時間を頂き、ネット広告についての話をしました。

懇親会で、いろいろな方々の話を伺い、思い出したことがあります。

現在、米国ではインターネットを活用したマーケティングが百花繚乱。Web解析のOmniture、SaaS型のCRMであるSalesforce.com、ネット広告配信のDoubleClick等がその中心となっています。

そしてそれぞれ、今のところはMicrosoftのように覇権を握ろうというわけではなく、いろいろな企業と共栄共存で進んでいます。

これはなぜかというと、あまりにも変化のスピードが速く、自分の領域に集中しなくてはついていけなくなるから。あれもこれもと手を出すよりも、関連はしているが自分と少しでも異なる分野は他の企業と上手く手を組んで互いに成長(Win-Win)しようという戦略で、これは成功しています。

医薬品マーケティングは、今まではゆっくりと進化してきましたが、ここ2、3年は、DTC広告e-マーケティングなどの分野は進化のスピードが速く、また、ボリュームも急速に増えてきているため、米国のインターネットを活用したマーケティング分野と同様な空気が流れているのでしょう。実際に、成果の上がる実用段階に入ってきているのではないでしょうか?

そんなことを感じながら、その流れについていけないミドル、トップの説得をどのようにすればいいのか考えていました。

【参考書】次世代マーケティングプラットフォーム 広告とマスメディアの地位を奪うもの

2009年06月01日

2つに分かれていくMR(営業部門)

臨床検査会社のビー・エム・エルの株価に関して、日興シティグループ証券が『高リスクではあるが買い!』との判断をしていることを下記のメディアが報じています。

毎日jp:http://mainichi.jp/life/money/kabu/nsj/news/20090601160207.html
Infoseekマネー:http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext/?id=nihonsyokens160207

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日興シティグループ証券は5月29日に臨床検査会社のビー・エム・エルの投資判断を「1H(=買い/高リスク)」継続で目標株価を2,600円→3,200円に引き上げた。

抗ガン剤イレッサが効果を発揮する患者群の選定検査や、抗ガン剤カンプトが副作用を起こす遺伝子多型検査を持つ患者の排除のための検査などが増加すると予想。

これらの事業は年商1億円強と規模は小さいものの、将来的には数十億円規模と想定。

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詳細は、下記のURLを参照ください。

●イレッサ(アストラゼネカ)が効果を発揮する患者群の選定検査(肺癌におけるEGFRの遺伝子変異解析)
http://www.bml.co.jp/genome/product_service/invader08.html

●カンプト(ヤクルト)が副作用を起こす遺伝子多型検査を持つ患者の排除
http://uwb01.bml.co.jp/test/PDF/BML2009-11.pdf

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筆者は、数年前から、抗がん剤を代表とする『分子標的薬(セカンダリーケア医薬品)』の市場規模が、ブロッグバスター(低分子医薬品orプライマリーケア医薬品)を抜くと予測しています。また、売上だけではなく、分子標的薬は営業利益が高いので、日本でも大手の製薬企業の開発は分子標的薬へ急激にシフトしてくると思われます。

こういった報道を見ると、株のマーケットも医薬品の主役交代を意識し始めているのでは・・・、と思ってしまいます。

先週末にe-マーケティングに関するセミナーを行いましたが、今後、e-マーケティングが流行ってくる前提は、まさに、この点からです。

分子標的薬は、e-マーケティングに適しませんが、残された低分子医薬品は、ますます営業コストを下げなくてはなりません。そのために、e-マーケティング、すなわちネットの活用を考えなくてはならなくなります。その対象も、医師だけではなく、直接、患者・市民に情報を発信することも効率を考えるとチャレンジする意義があるでしょう。いわゆるDTCプロモーションですね。

そして、分子標的薬を扱う営業部隊は、専門化された人材が担うことになります。営業部隊を2つに分けることになるわけです。

数年前に、専門MRの議論がありましたが、専門MRを増やすことに内資系の製薬企業はあまり熱心ではありませんでした。しかし、このトレンドは、もう、はずすことができないことになるでしょう。

2009年01月19日

ネット広告の新たな手法(2)

●Webマーケティングでは、顕在ユーザーになる一歩手前の潜在ユーザーの早期囲い込み、および、長期的コミュニケーションが重要になる!

ユーザー参加型ニュースサイト『newsing』を運営している株式会社マイネット・ジャパンの主張です。
newsing

【マイネット・ジャパン】 http://mynet.co.jp/
【newsing】 http://newsing.jp/

近年、既に購入者になっているユーザー向けに情報提供や再購入促進(リコメンド)を行って囲い込みをすることがマーケティング上の重要な施策といわれていました(関係性マーケティング)。売りっぱなしでは、効率が悪い!というわけです。

しかし、市場における競争が激しくなり、このような手法をとる企業が増えてきたため、従来のように効果が上がらなくなってきています。

マイネット・ジャパンの主張は、まだ購入者になっていない潜在的なユーザーの囲い込みを行って、他社に差をつけよう!ということです。そのための手段が『ソーシャルニュースサイト』。

ソーシャルニュースサイトは、米国ではdigg.comが有名で、米国の新聞社系のニュースサイトも無視できなくなってきており、ソーシャル化が進んでいるとの事。日本でも、その影響が出てきているようです。

http://zen.seesaa.net/article/111479801.html
http://zen.seesaa.net/article/105723240.html

確かに、SNSで日記を毎日更新するのは無理でも、空いた時間にニュースを読み、関心のある記事に投票するだけだったら、やりますね。流行ってくるのもわかります。

ただし、ソーシャルニュースサイトで集客した潜在ユーザーに、いかにアプローチしてユーザーになってもらうか(顕在化)・・・、これは、もっと検討しなくてはいけないと感じています。

マイネット・ジャパンでは、自社サイトにnewsingのコンテンツ提供した場合、自社サイトのアクティブ率向上、SEO効果を効果としてあげていますが、その先の・・・

潜在ユーザーが顕在ユーザーになるための方法論を開発していくことも重要だと、私は思っています。
この記事をクリップ!

2008年11月28日

『花王』の広告戦略


花王2008年上期、減収減益の決算発表が相次いだ日本企業の中、売上高前年同期比0.5%増、純利益10.5%増と、健闘が目立つ「花王」の尾崎元規社長のインタビューがNB onlineに掲載されていました。



http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20081121/178071/?P=1&ST=news

(記事抜粋)***********

最近はメディアに対する消費者の接触態度が変わってきています。かつてのようにマス媒体、特にテレビや新聞だけから商品情報を取るわけではなくなった。深い情報を雑誌で取ったり、多面的な情報をネットで取ったりというように。

広告の目的は、一番知ってほしいお客様に、一番知ってほしい情報効率よく届けることです。ですから、そこら辺の変化を捉えて、専門誌やインターネットでのいろいろな情報提供も使った広告のメディアミックスを行い、宣伝費の総額を抑えながら広告の伝達性を高めています。例えばテレビで商品を出したら、その商品の特性を雑誌で伝え、電車広告で、「あ、あれだ!」と想起してもらう。そして店頭で「これなんだ」と手に取ってもらう。マーケティング業界でIBC(Integrated Brand Communication)と呼ばれる手法ですね。

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●マーケティングの効率化のために、宣伝費の総額を抑えながら広告の伝達性を高める工夫についてのコメントです。

ネット広告の主な特性は下記の3点ですが、それを認識した上で、コストのかかるテレビを減らし、ネットや専門誌、電車広告などと組み合わせる手法が功を奏していることがうかがえます。

 @ 出稿効果が具体的にわかる
 A 露出のコントロールが詳細にできる
 B 極めて有効な行動喚起が可能
   http://blogs.dion.ne.jp/lou/archives/7734449.html

●花王のように規模が大きく、潤沢な広告費予算を持っている企業でも、不況のために、広告費の総額を減らそうという昨今の状況です。

もともと、そんなに広告を行ってこなかった企業ブランドマネージャーは、ますます、広告は高嶺の花だとの思いを募らせているのではないでしょうか?

しかし・・・

@〜Bの特性の結果、ネット広告は恐ろしく安いコストで行う事ができます。たとえば、Aですが、Googleの検索連動型広告AdWordsは下記に示すように下限はありませんし、バナー広告も表示回数を自由に設定できるものが多いので、テレビや雑誌に比べて、フトコロ事情に応じた広告を打つことができます。

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Googleのホームページより

固定費用はございません。AdWords の広告予算は、お客様にて自由にお決めいただけます。 たとえば、1 日の予算を 600 円、広告のクリックごとの上限クリック単価を 12 円というように設定することができます。
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不況だから、3K(広告費、交際費、交通費)は削減というのではなく、他社に差をつけるために、ネット広告を上手に活用した低コストで、効果が高いプロモーションを考えてみてはいかがでしょうか!


2008年10月31日

3Gマーケティングの参考書

スティーブをはじめ、何人かの方に、3Gマーケティング(*)の参考書を聞かれました。下記に示す3冊は読み物としても面白いので、インターネット広告バズマーケティングに興味のある方は読んでみてください!

1.神々の「Web3.0」 (Kobunsha Paperbacks 125):この本は、過去にも取り上げました。詳細は、下記を参照ください。

 http://blogs.dion.ne.jp/lou/archives/7662735.html

2.次世代マーケティングプラットフォーム 広告とマスメディアの地位を奪うもの:米国の先進的な試みやコンセプトが紹介されています。

3.巨大人脈SNSのチカラ:ちょっと古いですが、SNSの歴史や様々なSNSを紹介しています。


小林雅一氏の「神々のWeb3.0」次世代マーケティングプラットフォーム 広告とマスメディアの地位を奪うもの巨大人脈SNSのチカラ











*:第3世代のマーケティング(3rd Generation)。筆者は、以下のように現在までのマーケティングの概念を3つの世代に分け、現在は、第3世代のマーケティングの時代であると認識している
  第一世代:流通対策が主体
  第二世代:4Pの最適化が主体
  第三世代:コミュニケーションが主体



2008年10月22日

医薬品マーケティングとネット広告

ネット広告に関して、製薬企業のマーケティング研究会でお話しました(次年度も継続するそうです!)。

医薬品マーケティングには、ネット広告は関係ないんじゃないの?というメンバーからの意見もありましたが、最近のマーケティング・トレンドを体現しているネット広告を知ることは、第3世代のマーケティング(*)を深く知りことにもつながります。

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*第3世代(3G)マーケティング;筆者は、『商品の流通』を主な目的とした第1世代、『マスを対象にした4Pの最適化』を目標にした第2世代、『個客と双方向のコミュニケーションをとること』を目標にした第3世代とマーケティングを分類しています。
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せっかく医師向け、患者向け情報提供のサイトを作っても、ネット広告で集客しているサイトはほとんどありません。せっかくのサイトが情報の渦に埋もれてしまって、もったいない!

ネット広告は、ターゲットを細かく設定できますから、非常に安いコストで行うことができます。一度、研究してみてください。

ネット広告業界の方々も、医薬品マーケティングには、DTC広告という手段があることを認識して、盛り上げてください!米国では年間5,000億円超が医薬品の広告に使われ、そのなかでネット広告は過半数を占めます。

スライドを下記サイトに投稿しておきましたので、参考にしてください!(ちょっと文字化けしていますが・・・)

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2007年10月16日

ファイザーがサーモと提携

ウォール・ストリート・ジャーナルが報じたところによると、ファイザーは、医師のためのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「サーモ」との提携を15日に発表する、とのこと。

http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djBUX3857.html

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071015-00000018-dwj-biz


sermo

サーモ(sermo)は、ラテン語で「会話」という意味で・・・

・2006年9月に開設された米国最大の医師コミュニティサイト。
・現在3万人以上の医師が登録をしており、登録者は週に2,000人となっている。
・サーモでは、医師が知識を交換したり、仲間の医師から医療に関する見識を直接得ることができ、新たな研究報告や論文に関して、ディスカッションすることが可能になっている。
・サーモは、無料で医師に解放されており、広告やプロモーションをサイト上で行うことはしていない。

http://www.sermo.com

実際に見てみると、医師の投稿に対して、賛成、反対がどの程度いるのか、投稿した医師に対するレイティングがあったり、興味深いものでした。

ビジネスモデルは、ちょっと難解な文章で、情報の裁定取引(arbitrage)の一つとか、訴訟にならないようなとか、ヘルスケアにおける市場創出型とか書いてありますが、ちょっとわかりません。

また、投稿した医師には100$、それに対して賛否の投票をした医師には20$の報酬がもらえるともあります。

ウォール・ストリート・ジャーナルによれば・・・

ヘッジファンドなどの顧客に医師の匿名の会話を観察させ、例えば、特定の治療薬の人気についての知識を得られるようにすることなどで、収益を上げている。会員から高い評価を受けた書き込みを行った医師に対してサーモは報酬を与えている。顧客からのアンケート調査に参加した医師に支払いをするというオプションもまもなく開始する予定。

サーモを利用することによるファイザーのメリットは...

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