2016年03月04日

製薬企業の組織改編

春めいてきました。

そろそろ、移動、組織改編の季節ですね。

製薬企業も、エーザイ、大日本住友に営業組織の大きな変更があるようです。一昨年から、武田薬品も組織変更を何度か繰り返しています。

ブロックバスター時代の製薬企業のモデルが通用しなくなり、各社新たな成長戦略を模索中との表れでしょうか…。

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◆エーザイ

新しい地域営業戦略を4月から実施
ミクスOnline_2016年3月4日(抜粋)

エーザイの内藤晴夫社長は3月3日、都内の本社内で開いた記者懇談会で、今後、地域医療の体制や担い手が変化することを見越し、新しい地域営業戦略を4月から実施することを明らかにした。これは同日発表した2025年度までの10カ年経営計画で示されたもの。

今後、拡大が見込まれる在宅医療や、地域医療連携推進法人の創設に伴う法人本部による薬剤共同購入等に対する営業活動の強化が柱。病院や保険薬局の法人本部への提案や交渉、地域連携支援などを行う「キーアカウントマネージャー」(KAM)を倍増し60人程度を配置する。

経済性も重視される市場であるため、新薬だけでなく長期収載品、ジェネリックを含むエーザイグループの複数の製品をパッケージで提案し、治療効果と経済性を併せ持った価値を訴求することで採用拡大を図りたい考えだ。

具体的には、地域医療でニーズが高く、取り扱い製品のある認知症、不眠症、骨粗鬆症、便秘症において、グループの複数製品からなるパッケージによる治療成果と経済性を検証し、その情報を持ってKAMが法人本部などに提案活動を行う。経済性も考慮し、長期収載品、GEを含めた提案を想定しており、内藤社長は「パッケージが生み出すアドバンテージ、メリット」を訴求したいとし、「この戦略の下ではGE、長期収載品は決してすてたものではない。重要な構成要素である」と説明した。BtoBビジネスの要素が強まるとの認識を示した。

KAMについては、対法人への薬剤パッケージの提案、契約、薬剤のフォーミュラリーへの登録などの交渉などを行う「ゲートオープナー」の役割だとした。そのあとにMRが製品情報提供、情報収集を行う流れ。すでに配置されているKAMは、対グループ病院、薬局担当は元支店長クラスがあたっているという。ほかには地域連携支援を担当する者もおり、支援実績が高い若手も配属されているという。

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◆大日本住友製薬

戦略立案機能を各支店に移管
ミクスOnline_2016年3月2日(抜粋)

大日本住友製薬は3月1日、4月1日付の組織変更で、より地域の事情に応じた営業を行うため、戦略立案機能を各支店に移管すると発表した。この中で20支店ある現体制を15支店に再編、1支店あたりの規模を拡大して支店の権限を高めることで「地域密着型の営業体制の強化を図る」としている。

また、役員人事も常務執行役員営業本部長の中島亨氏は3月31日に退任し、後任には現在執行役員で人事部長兼キャリア開発担当の小田切斉氏が昇格(常務執行役員)して就任する。

⇒この小田切斉氏のインタビュー(4月に新人事制度スタート‐組織管理から個の突破力へ
薬事日報_2016年2月26日(抜粋)

4月から新たな人事制度をスタートさせる大日本住友製薬。「組織型管理」から「社員の個」を生かす人事政策に舵を切り、癌領域や再生・細胞医薬に挑む。

――求めるべき人材像は。

過去は業界全体の市場が拡大する中で会社を成長させることができたが、今後は特定の事業分野で強みを発揮してトップを走っていかなければ生き残っていけない時代がやってきている。

当社は、精神神経領域などの既存領域だけでなくiPS細胞由来の再生・細胞医薬の実用化にも挑戦しており、最先端の領域でトップランナーを走っている自負がある。その中では、従来型の指示、命令を中心に官僚的に人材を動かすのではなく、変化の波を自らつくっていける人材を輩出していくことが必要だ。組織の中でバランスを取っていく人材も必要だが、社員一人ひとりの突破力が成長のより大きな原動力になる。

――新人事制度を立ち上げた背景は。

今年4月からスタートするプロフェッショナル人事制度は、2年前から検討してきた。当社は昨年合併10周年を迎えたが、大日本製薬と住友製薬の融合を促進する時期を経て、他社に比べても、雰囲気の良い社風を形成することができたと思う。反面、会社が決めた方針に基づいて、組織の枠組みの中で人材が動くという受身傾向が強く、社員の能力やアイデアを事業戦略に生かしていく人材活用が不足していた。

数年前より、年功序列型から成果主義型の人事評価に改め、若手社員も積極的に登用し、チャレンジする文化を作り出してきたが、未だ、安易なマネジメント志向に偏った人がいることも否めない。

各部署で組織をまとめるマネージャーとして昇進していく従来のキャリアパスの「プロフェッショナルマネージャー」(PM)職に加え、専門性に根ざした個としての成果創出能力が高い社員を配属する組織から外し、独立した存在としての「プロフェッショナルコントリビューター」(PC)職として登用することを決めた。新たな制度に改定することで、課長・部長クラスの幹部社員をはじめ、若手社員の意識改革を促していきたい。

――人事制度の概要は。

新人事制度では現在の幹部社員を中心とした幅広い人材の中から、「PC1」「PC2」を約40人選抜した。PC職の権限を強化したり処遇を高めたり、組織の枠を超えた活躍が行いやすいように工夫をした。PC職の下にはPAを創設し、幹部社員の中で特にスキルが高い人材を将来のPC、PM候補者として抜てきしていく。

PCの選抜基準は職種によって異なるが、会社の利益に貢献していけるかが判断の大きなポイントになっている。例えば、営業成績や研究成果が一つの目安であり、部門をまたいで周囲を巻き込みながら仕事ができるような人物を想定している。PCには自分を補助する役割として、アソシエイトの社員を指名できるようにし、より能力を発揮できるようにしていくつもりだ。仮に成果を生み出せずに失敗したとしても、挑戦的な姿勢で臨む人材に対しては、会社としてはより寛容であり、次の挑戦を促す必要があると考えている。

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◆武田薬品

流通政策担当組織を見直し
ミクスOnline_2015年1月19日(抜粋)

武田薬品は1月16日、医薬営業本部にある流通政策担当組織を見直すと発表した。流通推進部の傘下の3特約店部それぞれにエリアごとの特約店担当組織を置く現在の形を、推進部を改称して設置する「流通統括部」の傘下に全国に7特約店部を新設する形に改める。組織を簡素化することで、エリアの声を吸い上げやすくし、機動的な政策展開ができるようにする。「流通統括部」は、特約店のサポートに加え、新たなビジネスモデルや将来的な流通政策の企画立案も担う。2月1日に実施する。

新設される特約店部は、「北日本特約店部」「北関東・甲信越特約店部」「首都圏特約店部」「名古屋特約店部」「中日本特約店部」「中国・四国特約店部」「福岡特約店部」。現行の「東日本特約店部」「中日本特約店部」「西日本特約店部」は廃止する。

併せて、医薬営業本部内に「オンコロジーマーケティング部」「オンコロジー東日本営業部」「オンコロジー西日本営業部」「ワクチンマーケティング部」「ワクチン営業部」を新設する。

これらは組織見直しは、4月1日の完全移行を目指す新グローバル組織体制の構築の一環。

がん対策強化の新組織発足
ZUU online_2015年3月23日(抜粋)

武田薬品は2015年3月23日23日、アメリカ・マサチューセッツ州に所在する「Global Oncology Business Unit(呼称:Takeda Oncology)」の日本での代表部門として「日本オンコロジー事業部」を4月1日付けで発足する、と発表した。

日本オンコロジー事業部はがん領域の専門組織で、がん患者のニーズをよりきめ細かく継続的に把握することで、次世代のがん治療薬の普及に取り組む。

同社は現在、国内において結腸・直腸がん治療剤「ベクティビックス」などを販売している。米国食品医薬品局(FDA)から指定を受けたがん治療薬を日本で開発中で、今後、日本オンコロジー事業部は「Takeda Oncology」などと連携し、がん治療薬のポートフォリオを拡充していくという。

テバ社と合弁会社設立−長期収載品事業を会社分割によりテバ社へ継承
日刊工業新聞_2015年12月28日

武田薬品は、2015年11月30日付「テバ社と武田薬品による日本における合弁会社設立に関する基本合意契約締結について」にて公表した合弁会社の詳細について下記のとおりお知らせします。

この設立にあたり、武田薬品は、Teva Pharmaceutical Industries Ltd. (本社:イスラエル)の日本における連結子会社へ、武田薬品の特許期間及び再審査期間が満了した医療用医薬品事業を行います。

本会社分割は、テバ製薬株式会社及び大正薬品工業株式会社と武田薬品の間における三角吸収分割です。分割会社である武田薬品は長期収載品事業を承継会社である大正薬品に承継し、その対価として大正薬品の親会社となるテバ製薬の株式の交付を受けます。武田薬品の長期収載品事業を承継すると共に継続してジェネリック医薬品事業を営む大正薬品の名称は「武田テバ薬品株式会社、継続してジェネリック医薬品事業を営むテバ製薬の名称は「武田テバファーマ株式会社となり、両社が一体となって新たな事業を推進してまいります。

なお、テバ社は同じく日本における連結子会社であるテバホールディングス株式会社(以下「テバホールディングス」)を通じて、テバ製薬の発行済株式総数の51%を保有し、武田薬品はテバ製薬の株式の49%を保有します。

2016年4月以降に設立される合弁会社の武田テバファーマ及び武田テバ薬品(以下、総称して「新会社」)は、日本の患者さんや医療関係者の方々に対し、テバ社の高品質なジェネリック医薬品と武田薬品から承継する長期収載品をお届けしてまいります。また、武田薬品が国内において長年の事業を通じて築きあげてきた企業ブランドと強固な流通網、そしてテバ社の広範な製品群と最先端のビジネス効率を活かし、日本におけるジェネリック医薬品及び特許期間を満了した製品群に関するリーディングカンパニーを目指します。

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posted by lou at 14:00| Comment(2) | TrackBack(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

DIAMOND onlineに塩野義の手代木社長のインタビューが載っていました。塩野義も組織を新しくしていこうと考えているようです。

医療制度改革の激震に塩野義が打つ次の一手
塩野義製薬社長 手代木 功
2016.03.25(金)

2016年度診療報酬改定によって、4月から薬の値段が変わる。一連の医療制度改革を製薬会社はどう受け止めるのか。そして、どう動くのか。

──今回の改定は土壇場で、当初予想を超えて1000億円以上売り上げた薬の値段を引き下げる“巨額再算定”を導入しました。

 いいものを作ったのに、もうかり過ぎたからペナルティーを与えるというのは乱暴です。今回の対象は1000億円以上でしたが、今後750億円以上や500億円以上にする話になりはしないでしょうか。恣意的な運用は困ります。

──医療費の財源には限りがある。ない袖は振れません。

 分かります。ただ、ビジネスの予見性が損なわれることだけは避けてほしい。これくらい利益を出し、ここへ投資をしようという計画が突然崩されるのはしんどい。

──医療制度改革が進めば、医療業界の環境は大きく変わります。予見できれば生き残れる?

 2020年の会社のありたい姿を明確にしており、14年末から、社員に20年時点で自分の今の仕事がどうなっているかを考えるよう促しています。自分の仕事が5年後にあると思わないなら、20年にもっと大事になると思う仕事へ移ってくれと。5年間はパフォーマンスが上がらずとも許容します。

──製薬会社の営業マンであるMR(医薬情報担当者)の在り方は変わりますよね。医療機関と製薬会社の関係に世論の厳しい目が向けられ、業界は資金提供の情報公開など透明化を迫られました。

 うちはMRが1250人ほどいますが、病院がMRの訪問を規制し、医師に会えるのは駐車場なんていうこともあります。

 今後の医療提供体制で見れば、大きな病院はだんだん集約されるかもしれません。そこに重篤な患者が集まり、医師は高い専門性を持ち、専門領域の薬にも詳しく、「うちの製品を使ってください」とだけ言いに来る人間に会っている暇などないわけです。グローバルな研究開発の話などができないと、ニーズに応えられません。

 地域包括ケア(医療、介護、予防、生活支援などが地域で一体的に提供されるシステム)を進める流れもあります。地域単位でそこに合ったサービスや情報の供給体制ができて、地域なりの薬剤選択の基準が生まれるかもしれない。となると、地域の自治体、医師会、薬剤師会、卸との会話が必要だが、今のMRではついていけない。だから医療連携サポート室を15年10月に発足しました。

──医療制度改革は途上。想定と異なるものになるかもしれません。

 リスクはある。でも仕組みができてからでは、すぐ対応できない。人に投資して育成を兼ねた人事異動など先んじて動く。ベンチャー買収ばかりが投資ではありません。
Posted by 若杉 徹(著者) at 2016年03月25日 10:28
10ヵ年の中期経営計画で「地域医療へのフォーカス」を戦略の柱に掲げたエーザイ、地域医療構想の構想区域に合わせて営業所を再編する第一三共、協和発酵キリン、社内専門家とチームを組み、地域のニーズに合った戦略を立案・実行する体制メディカル・ネットワーク・リエゾンを構築する中外製薬、戦略立案機能を支店に移す組織再編を行った大日本住友製薬が掲載されている記事です。Blogと被る部分もありますが、参考までに!

http://answers.ten-navi.com/pharmanews/6677/

「地域医療へのフォーカス」は、製薬企業の営業のトレンドですね!
Posted by 若杉 徹(著者) at 2016年04月27日 13:16
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